第3話

会場に着いたときもう開場していたのでスムーズに入ることができた

中は空調が効いていて少しヒンヤリしているミストが焚いてあるのか少しもやがかかっていた

ステージには(オーガンジー幕)が張ってあった

普段俺が行くライブとは違って座席があるタイプのライブ皆ゆったりしている

はじめは俺達男同士は浮くと思っていたらそんな考えは会場に入ってあっさり消えた

老若男女たくさんのファンがペンライトをもって開演を待っている感じだった

蒼甫について会場の中を進んでいく


「春兄さん僕達の席はここですよ〜」

「あぁ…」


ステージの真ん前

手元にあるチケットに書いてある座席番号と椅子に書いてある番号を確認する


「…一番前…」

「そうみたいですね~とりあえず座りましょう」


蒼甫に言われて座る

さっき入り口で持ち物チェックを受けたときに貰ったチラシを見ていると


「春兄さん」

「ん?」

「僕トイレに行ってきますね」

「あぁ…」


蒼甫がトイレに行った

特にすることもないので手元のチラシに目線を戻す

チラシは今度発売するCDについてのものだった

DiOディーオはいろいろ曲が使われているみたいで割りと有名みたいだ

俺も見たことあるドラマも数本あったが内容がいまいちで少しも覚えていなかった…

ただ使われていた曲が良かったのを思い出してなんとなく今日これて良かったと思った



チラシを見ていると蒼甫が帰ってきた


「春兄さん」

「ん?」

「どうぞ」


そう言われて差し出されたのはペンライトとペットボトル


「ありがとう」


お礼を言って受け取ってペンライトは膝の上に置いてペットボトルの蓋を開けて水を飲む


「春兄さん…」

「ん~」

「兄さんは曲を誰かに歌って欲しいと思ってないんですか?」


ケホケホ…


蒼甫が急に言い出したので吃驚して飲んだ水が気管に入ってしまった…


「す…すみません…大丈夫ですか?」

「あぁ…ダイジョブ…」

「春兄さんの曲良い曲多いのに眠らせてるの勿体無いですよね…」

「そうか?」

「僕は春兄さんの曲好きですよ♪」


蒼甫は俺が曲を作ってるのを知ってる数少ない人間

大学のダンスサークルで蒼甫のダンス曲を選んでいるときに間違えて俺の作った曲のデーターを渡してしまい聞いた蒼甫が気に入ってその曲を使って大会に出たら優勝したことから蒼甫は俺に曲を頼むようになった


「誰か歌ってくれる人がいればなぁ…」

「ん?なにか言いました?」

「いいや…」


そんなことを話しているとモニターに映像が流れた


DiOディーオ Newシングル▲□▲

~~♪~~♪~~♪

●月×日リリース』


[次の曲も神ってる]

[買わなきゃ]

[今日聞けるかなぁ?]

[絶対歌うよ♪]


新曲の映像と歌が流れたやっぱり良い声だ

皆新曲の話しで盛り上がっている


「はぁー♪」

「ん?」

「ステージにこんなに近くてしかも入手困難なDiOディーオのライブにこれて僕凄く嬉しいです」

「入手困難…?」

「はい!TVに出ない顔を出さないなのに出す曲出す曲ミリオンヒットしかも新曲は使いたい人達の取り合いになるほど…」

「そんな奴いるんだな」

「今roiロワDiOディーオが凄いんですよ」

roiロワ…?」

「知らないんですね…DiOディーオと同じ事務所で一年先輩のシンとミヤのユニットです。外見も中身も良くて今女性に大人気で出す曲出す曲大ヒットてTVや雑誌で話題なんですよ」

「ふ~ん…そんな貴重なチケットをありがとう」


俺は詳しすぎる蒼甫に若干引きながらもさっき流れた新曲を頭に流しながら早く始まらないかとワクワク胸を弾ませていた












※roi(ロワ)はフランス語です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る