第14話:第二回宝石競売

 二回目の宝石競売も大成功となりました。

 前回出品した以上の大きな宝石や、珍しい色の宝石を出品しました。

 宝石としては比較的価値の低い水晶、メノウ、シトリン、トルコ石等ではありますが、今まで世に出回った事のない大きさや色ならそれなりの高値が付きます。

 前回の競売では金貨二十万枚分の落札額でしたが、今回も二十万枚を越える落札額となり、その全てを兵糧の備蓄と武具や馬の購入に当てました。

 

「それにしても、多くの貴族が残ってしまっていますね、歓待に問題ありませんか」


 遠回しに言っていますが、我が家のもてなしが悪いと思っているのではなく、身勝手な貴族達に家臣が困っていないかを聞いているのです。

 特に侍女達が性的に無理無体を要求されていないか心配なのです。

 もしそんな事があるようなら、魔術で密かに殺してやってもいいのです。

 大切な家臣のためなら、この手を血で汚す事も厭いません。


「大丈夫でございます、なんの心配もございません、マリーナ閣下。

 閣下が使用人の端々まで大切にされている事は、最初に説明しております。

 閣下に眼を付けられ、支援されなくなることを貴族の方々は恐れておられます」


 確かにそういう所はあるでしょう。

 王家や隣国の攻撃に備えるためには、莫大な軍資金が必要になります。

 有り余る軍資金があっても、実際に戦ってくれる兵力がなければ意味がないです。

 常備軍を持つというのはとてもお金が必要な事なので、有り余っていたはずの軍資金も直ぐになくなってしまいます。

 彼らが求めているのは、私からの援軍でしょう。

 それでなくても数多くの常備軍を持つ辺境伯家が、更に常備軍を増やすのですから、頼るのは当然ですね。


「では期待通り常備軍を大幅に増強しましょう。

 王太子領とモランボ公爵領から逃げてくる者たちは、男女の別なく兵士にして、確実に衣食住を支給してください」


「承りました」


 我が辺境伯家は、わずか二カ月で金貨四十万枚以上の利益があったのです。

 常備軍を増強しなければ、他国から富を狙われてしまいます。

 それに、飢えて逃げてきた民に衣食住を保証しなければ、生きていくために犯罪を犯すのが当然です。

 そんな事になれば、治安が悪化してしまいます。

 全ての貧民に衣食住を保証しなければ、民の安心安全が確保できないのです。


「元々の住民による守備隊と自警団はそのままにして、騎士団と徒士団の半数には傭兵から選抜した者を配属して戦力を増強させてください。

 残る徒士団の半数には貧民を従兵として配属して、戦力を増強させてください」


「承りました、ただジュリアスの傭兵団にも希望する貧民を入団させてください。

 貧民の中には実戦経験者もいると思われますので、それなりに戦える者は最前線に投入できるようにしてく方がいいと思われます」


 

 

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