第8話 三度目の正直者の末路? 

「あっ……」などと、声を発したオレの負けは確定。

 初日に出会った超凶暴な女子によりにもよって、朝に遭遇してしまった。


 奴……もとい、綺麗な暴力女子に出会ったのは今回で実は三度目。

 初日に一度目の蹴り、二度目は記憶が無くなるまでビンタされ、どこで出会ったのかさえ覚えていない。


 そして三度目の朝。

 オレと奴は、何かのラブコメフラグでも立っているのだろうか。

 

 それも何故か掃除用具が入ってなきゃおかしいはずのロッカーで密着状態という、ラッキーでベタすぎる展開の最中だったりする。


「……動いたらコロす。絶対シナす!」

「ハ、ハハハハ……キミみたいな女子が物騒な――」

「息をするな! 吐け! 吐き続けろボケ!」

「いやいや、死にますって」

「ボケが! くそっ、何でこんなことに……」

「同感ですね~はは」

「――あ?」


 今にも眼力で失神しそうなのだが、事の始まりは今に始まったことでもないオチだ。

 朝の教室、それも珍しく一番乗り。


 周りが女子だらけで、男のオレがすることといえば、『スーハースーハー』などと昨日の女子の残り香を……なんてそこまで変態じゃない。


 ただ、全ての女子の机を水拭きしていただけだったのである。

 そんな時に限って、初日の蹴り女子が早々と登校して来たのは大いなる誤算。


 教室の床には、たっぷり水が入ったバケツを置いていた。

 いくら何でもそれにつまづくことは無いだろう……などと思っていたのに。


「きゃうん!? す、滑るぅぅ~」

「あ、危ないっっ!」


 ――で、本当に偶然に近くのロッカーに彼女を押してあげた結果が、コレである。

 ベタにも程があるが、何てけしからんくらいのボリューム感がゼロ距離に存在。


「どうするつもりだ? あ?」

「い、いやぁ~……どっちかが譲って出て行けば何も問題なんて」

「ふざけんなよ、この○○野郎!」


 きっと何か恐ろしい言葉を投げられたに違いないが、耳を塞いでセーフ。

 それにしてもこの豊満な、もとい、たわわすぎる女子はどうしてこんなにも狂暴なのか。


 教室限定の妹のまいかとは比べ物にならないくらい、綺麗すぎる。

 何度あの世に行ってもいいから、こんな綺麗な子を妹にしてみたい。


 そう思っていたら、通知メッセージが流れた。

 そして、


『……許可されました』


「へっ?」

「おい、てめぇ……今なにを思った? 正直に言え! 言ったら逝かせてやる」

「逝きたくないです……え~とですね、名も知らぬキミをオレの妹に……と」

「――!!」


 死亡フラグ立ててしまったのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る