第4話 目覚めたらイケナイ妹?が添い寝してた

 う~ん……いやに寝苦しい気がする。

 そういえば今って休み時間じゃなかったっけ? それなのに眠っているとかどういうことかな。


 もしや自分の知らぬ間に気絶して、保健室にでも運ばれてしまったというオチか。

 いやいや、それだったらこんなに窮屈な感じにはならないはずだ。


 例外はあったとしても、保健室のベッドは寸法が大体同じなはずで……。


「ねぇ、しゅん兄くん。さっきから何をぶつぶつ独り言してるんですか?」


 やばいな、早くも幻聴が聞こえているぞ。

 実はここは保健室じゃなくて、どこかの監禁部屋とかで実は縛られているんじゃ……。


 そもそもオレのことを『しゅん兄くん』だとか、妄想おつ! って言われてしまうぞ。


「しゅんにいくん、起きないならイケナイことしまくるけど、いいんですよね? されちゃったら、多分一生、どんな努力をしても彼女なんて出来っこないですけど。いいですか~?」


 何だよ、うるさいな。

 妄想らしくもっと従順にしろっての!


「やれるもんならやれ! イケナイことって色々意味があるけど、どうせ大したこと――」


 ほぁっ!? なんだこれ。

 どこからどう見ても、女子の頭がオレのお腹の所に『こんにちは』をしてるんだが?

 オレは男で生まれてきたはずで、ちょっと出てるお腹に挨拶されても何も出て来ないぞ。


「ちょちょちょちょちょちょ!! な、何をしてるのか聞かせてくれてもいいよ!?」

「や~っと、起きたんですね、しゅん兄くん?」

「はい? え、誰のこと?」

「相変わらず激鈍ですね、八潮しゅん兄くん。他に男子なんていませんよ?」

「……ちなみになんだけど、オレのお腹に何か用でも?」


 オレの言葉に対し、つぶらな瞳女子から出た言葉。

 それはぼっち男子の脳裏には対処の出来ない、警告音が鳴ってしまうものだった。


「していいと言われたので前段階な準備を始めていたんですけど、やらないんですか?」

「や、やりませんとも! こう見えて、ボクはピュア~な男子よ?」

「――へぇ……」


 おいおい、殺気を出すのは倫理的に駄目だろ。


「それで、ここはどこでキミはダレ? オレは八潮しゅんだけど。どうして隣で一緒に寝ていたのか、言い訳を聞こうか!」

「うっわ、偉そうですよね~。ここは学校の中の教室。私は時川まいか、しゅん兄くんの妹です!」

「はっ? 教室!? え、授業は? というか、気になってるんだけど白いカーテンの向こう側って、どんな世界に?」

「……クスッ。カーテンの向こう側も教室ですよ? 異世界じゃないです。授業は……今日は終えてます。でも、次は分かりません! 安心しましたか?」

「やっぱり時川まいか! で、妹……なの? 彼女じゃなくて?」

「バカですか? 彼女になるわけないじゃないですか! 妹ならなりますけど、何で彼女なんかに……第一、あり得ないし好きでもないし」


 グサグサと何度刺されればいいのかな。

 彼女が無理で、妹にならなるって罰ゲームか? いや、違うか。


 告白してないのに、何で嫌われますかね。

 あり得ないってセリフは、全オレが泣くぞ。


「い、妹ってことは、あの妹?」

「どの妹ですか? 八潮しゅんはぼっちで一人息子なはずですけど。二次元の妹と同じにされても困るんですけど、妹ですよ?」

「さ、さようですか」


 くそう、ぼっちはともかく家族構成まで知られてるとか、何なのこれ。

 とりあえず、妹ライフがスタートで合っているのかな。


「じゃ、じゃあ、一緒に家に帰ろうか、我が妹よ!」

「え、嫌ですけど?」

「……ナンダッテ?」

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