10話.[来るだろうから]

「美咲ちゃんのばか」


 案の定、愛海に怒られてしまっていた。

 ここで瑠奈を、ではなく、私にというところが彼女らしい。

 ほいほい他の女の家に行くなと言いたいのかもしれない。


「上書き……」

「はい」


 体の力を抜いてベッドの上に転ぶ。

 横に寝転んでいた彼女が私の上に跨り、そしてそのまま口づけをしてきた。

 もう何度もしてきたから感じるのは安心感ぐらい、かな。

 最初みたいに頬が熱くなったりはしない。


「もっと……」


 瑠奈との対応の仕方をもう少し考えた方がいいかもしれない。

 この子を不安にさせたくない、とはいえ、ルナちゃんには興味があると。

 また、多分どれだけ会わないようにしてもあの子は普通に来るだろうから。

 極端なことをして余計に酷くさせるぐらいならあくまで普通を心がけた方がいいだろう。


「……ちゃんと言ってくれることが嬉しい」

「うん、これからはこういうこともあんまりないようにするから」

「うん」


 気をつけなければならない。

 キスをさせておけば満足するだろうからと考えてはならないのだから。

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01作品目 Rinora @rianora_

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