第5話

 水も、食料も、願いも奪われた。

 けれど命に別状はない。約束を守るだけの気力も残されている。

 だからレジナルドはきびすを返すように小舟をせんかいさせ、自分の帰りを待つメイのもとへと一心にオールをこいだ。

 雨水でのどをうるうし、潮風でえをしのぐ。この調子で進めば三日と持たずに力尽き果てよう。

 だが、そこへぐうぜんにも浦里行きの商船が通りがかった。いてから二日目にして、わたりに船のごとき巡り合わせが彼のきゅうを救ったのである。

 かくしてレジナルドは小舟をも手放すことで商船に乗せてもらい、どうにか浦里まで帰ってこられたのだった。

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