第13話 老木

 それから何年経つでしょうか、小さな木を見下ろして立っている木がありました。

 大きな木が話しかけます。

「きみはいつからそこにいる?」

 小さな木が答えます。

「いつだか、わかんない。」

「はて…」

 しばらくして大きな木が話しました。

「私にもそれくらいの時期があったと思うんだがね、もうずいぶん昔のことだ。何か懐かしい気分になるよ。私はこの先朽ちてなくなるかも知れんが、その頃きみは私ぐらいになっているだろうね。」


<完>             

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どんぐりの森 @yoko-fuji

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