第7話 台風(2)

 おまけに大粒の雨が降ってきて、どんぐりちゃんたちをたたき始めました。

「いたい、いたい!」

声をあげていると、おかあさん木の声が、風のせいでしょうか、遠くから聞こえてきます・

「静かに、じっとしているんですよ。こういうときは、消耗しないのが一番ですからね!」

どんぐりちゃんには、「消耗」の言葉の意味はわかりませんでしたが、おかあさん木のいいつけを守って、じーっと目をつぶって静かにしていました。

 

 やがて、真っ暗だった世界に光がさし、黒い雲はきれぎれに飛び、青空が見えてきました。ほどなく、空の全体が青くなって、さっきまでの荒れた天気がうそのようです。

「わああ、きれいよ。みんなまわりをごらんなさいよ。」

おかあさん木の声に、どんぐりちゃんたちはあたりをきょろきょろ見まわしました。

 葉っぱのかげから、たくさんの光のすじがさしています。

「これは、『光の滝』ですよ。」

おかあさん木は、晴れ晴れとした声でどんぐりちゃんたちに教えました。そうして、また少し涙ぐみながら、

「ようく、覚えておくんですよ。」

と言いました。

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