2nd 15
04
今回は。空母ひとつぶんを、預けられている。
「よお」
「こんにちは」
「夜だぜ?」
この公園には。夜になると、街を守る人間がふらっと現れる。
最近は、ほとんど。自分と彼の二人だった。
「そろそろ、だと思う」
「いつ落ちてくるのかと気を揉んで、夜も眠れねえな」
「そんな感じしないよ、君は」
「へへ」
夜の公園。駅前。
他の正義の味方は、街中だろうか。
彼のほうへ、目を向ける。車椅子。病院の、服装。
「体調は?」
「そこそこ、かな。いつも体調がわるいとね、それが普通になっちゃうんだ」
つかれているような感じがする。
「おまえは無理すんなよ」
「君こそ」
「俺は、無理していたいのさ」
少しでも無理していないと。ポケットの重さに。そのボタンのこわさに、耐えられない。
さっきコンビニで買った栄養機能性食品を、開封して食べる。
「食うか?」
「いや、やめとく」
コンビニにはスイーツがたくさんあったけど。我慢した。ミサイルが落ちてこないようにという、ちょっとした、願掛け。
「最近は、そればっかりだね?」
「あ、ああ。栄養機能性食品な。うまくはないが、これ食ってればだいたい、いざというときに動けるし」
ブロック状で、味もそんなにしない。ただ、消化しやすく、体力回復にも良い。
夜の、やさしい風。
公園を、抜けていく。
「こうやって。普通の夜が、続けばいいのにな」
「ふふ」
「なにがおかしい」
「いや。僕も、そう思うよ」
ここに、彼女がいれば。そう思ったが、口には出さなかった。
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