二十八、倍音
跳ねる 跳ねる
落ちて 弾む
弾ける 跳ねる
落ちる 落ちる
落ちる 流れる
砕ける 割れる
跳ねる 跳ねる
弾ける 落ちる
線 円
千の線
円 線
延々と円
落ちる 割れる
流れる 響く
奏でる 撫でる
交わる 割れる
点 点
転々と点
連綿と線
滔々と円
音(ね)
*
私という存在の
内側に鼓動
外側に窓
ぐじゅぐじゅと不明瞭の口真似
鳥籠の声音
止めどなく乞う
休みない降雨
無作為な行為
やむを得ない故意
言の葉に遊ぶ
音の
子供の歯 揃う
こともなく呪う
折り入って願う
折に触れ狙う
間断ない窓の外側の鼓動
音(おと)
*
カンカンと音が鳴る
雨の日は嫌だ
あの人が来る
びしゃびしゃと足音が鳴る
跳ね上げられる水溜まり
ボロボロと傘が鳴る
水滴を振り払って
くるくると振りかざして
逆さまの太陽が
雲間から
カンカンと鳴っている
階段を上がってる?
ありんこが地べた這う
雨粒に潰される
アメンボが
渡る虹を待っている
雨音が呼んでいる
あの人を呼んでいる
白い顔 濡れ窓に
蒼い闇 背負いながら
カンカンと
カンカンと……
音(オン)
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