『小さなお話し』 その223………『おつまみになったわたし』
やましん(テンパー)
『おつまみになったわたし』
《これは、フィクションであり、この世の、あらゆる団体、個人とは、まったく無関係です。》
🍶
お酒なんて、昨年の大晦日から、飲んでない。
もうすぐ、また、一年たつ。
奥さんのびーちゃんは夜勤だし、たまには、内緒で、ビールでもいかが?
ビールなんか、もう、5年は飲んでない。
たしか、友人と、サマーコンサートのあと、居酒屋に行った気がする。
あれ以来、どっちも、事情があって、会っても、飲んでない。
とか、言いながら、久しぶりに、無理に、ロング缶を飲んだら、酔ってしまった。
で、自宅のトイレで、倒れたのである。
まさかの、最後であった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
どこかの、スナックらしい。
おや、知ってるやつがいる。
ぼくとは違って、苦労はしたが、出世した。
いちど、会議の席で、休憩時間中に軽い話をしたつもりなのに、なんだか、気にさわったらしく、ひどく、みんなの前で、大声で叱られた。
相手が出世していることを、見落としていた。
まあ、よほど、気にさわることだったのだろう。
しかし、ぼくには、結構、深い傷になったけれど。
『そう言えば、やましん、とか、いうのがいたな。同期だったが、めんたる崩壊で辞めた。アホだった。なにやっても、ダメなやつだったがなあ。ああいう、めんたりすとは、早く、いなくなるべきだったんだ。まあ、実際に、死んだみたいだ。連絡も、なかったが。』
この人は、お酒を飲むと、酔ってしまって、『あいつは、発達障害だ、辞めさせろ❗』とか、叫ぶ悪い癖がありましたが(そんな権限はない)、それは、直ってないのかなあ。
『ああ。知ってます。またく、だめな人でしたなあ。ぼくも、一緒にしたことはあるけど、まあ、アホでした。お手洗いで、ぐったりしていた、とかでしたなあ。』
こいつも、知ってる。
一度、駆け出しのころ、大失敗したのを、助けたことがあったなあ。
助けなきゃ、良かったかな。
いやあ、助けなかったら、職場が壊滅だったかも。
だから、助けた。それだけだ。
まあ、良い歳になったなあ。
まだ、ほんの、若造だったのに。
うん、うん。
ああ、こいつも、髪の毛が、ないな。
苦労は、したに違いないだろ。
いったい、いまは、いつなんだろう。
なぜか、意識が、甦ったらしい。
『あ、い、痛い。くっそう。だれか、かんだぞ。』
激痛が走った。
おかしい。
体はないみたいなんだけど。
『ぎわ〰️〰️〰️〰️❗ 痛い〰️〰️❗』
痛いなんてもんじゃない。
麻酔無しで、手術しているみたいだ。
『まな、ああいう、アホを、採用したのは、ふしぎだな。たしか、一次試験で後ろの席にいたんだ。半世紀以上、前の話だよ。あ、これ、ママ、うまいな。この、フライ。がぶ。』
ずきーん。
ぎょわ〰️〰️〰️ん。
死にそうに、痛い❗
『唐揚げ、と言ってください。』
『うん、確かに、旨いす。じゅわじゅわな、感じだ。ぐわっ。』
ぎえ〰️〰️〰️〰️〰️〰️‼️
こいつらが、かじるごとに、痛いなんて。
なんだ、これは。
『ぎょわ〰️〰️〰️ん。』
『つき、つき。こっちの、春巻きも、良い。ママならではだな。長生きするもんだ。かぷ。』
『おわ〰️〰️〰️〰️〰️。たしけて〰️〰️〰️。』
『ほほほほほ。また、よっちゃん、お上手なこと、もう、80とっくに過ぎたんでしょう。もう、無理はいけないよ。終電も、早くなったし。』
『うんうん。こりゃ、うまい。がぶり。』
うぎゃ〰️〰️〰️〰️〰️‼️
くっそう。聞こえないのか、この、叫び。
『旨い、旨い。ま、やましんさんの、ご冥福をねがって、だな、かんぱーい。富士山が健在で良かったな、わはははははは。』
ぎょわあ。
しかし、間もなく、ぼくは、再び、意識がなくなったのである。
いまも、ない。
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『小さなお話し』 その223………『おつまみになったわたし』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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