『トリニティ・ブラッド』
未完が惜しまれるファンタジーといえば、これを挙げる人が多いだろうというのが、『トリニティ・ブラッド』である。シリーズ執筆中、作者の吉田直は34歳の若さでこの世を去った。
デビュー作『ジェノサイド・エンジェル 叛逆の神々』もそれほど悪くなかったが、まだ「売れっ子作家になる」予感を抱かせるものではなかった。しかし『トリニティ・ブラッド』は大ヒット作となる。
吸血鬼が跋扈する時代の話なのだが、主人公はその吸血鬼の血を吸う吸血鬼の神父である。普段はドジな主人公が覚醒したら強いというのもすかっとするが、他の登場人物たちも個性的である。そして何よりTHORES柴本のイラストにより、ぐっと世界全体に対する想像力が広がるのである。
この作品は未来を舞台ともしており、SF的な要素もある。ライトノベルでありながら重厚で深い設定で、伝説的な作品であると私は感じる。ただ、登場人物が多く、皆横文字なので名前を覚えきることができなかった。設定も確認したところ忘れている者が多い。完結するころにはどれほどのボリュームになっていただろうか。
作者の頭の中にはこれらのことがかなり確実に入っていたのではないか、と思う。聡明な人にしか書けない物語だった。決して今でも古いと感じない物語なので、未読の方はぜひ読んでみてほしい。
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