『聖闘士星矢』

 小学生の頃、皆でよく聖闘士星矢ごっこをしました。多くのキャラに必殺技があり、子供が遊ぶにはちょうど良かったです。アニメでは技の前に舞い(?)があったりして、なかなか楽しめる要素も多かったですね。

 この漫画のおかげで、星座や神話についてある程度は知っている、という人も多いのではないでしょうか。考えてみると明確に神々がいて、不思議な力があってということで、「現代ファンタジー」とも言えますね。

 主人公の星矢は、意外と「わかる範囲」の技を使います。すごく速く何発も打つ流星拳、それを一か所に集中させる彗星拳。最初の内は理屈もわかる技が多いのですが、敵が強くなってくると「何が起こっているんだ」という技も増えてきます。私も好きで人気の技「ギャラクシアンエクスプロージョン」はイメージでは星々が爆発していますが、実際は何が起こっているのでしょうか。でも、「あの世界」では起こり得ることとして納得してしまうんですよね。まさに世界を創っているんです。

 物語は終盤、冥界に突入します。ハーデスを倒すために地獄に行くのですが、こうなると完全に「想像の世界」ですよね。ハーデス軍が地獄を管理しています。「地獄を舞台にしたファンタジー」としてみても、面白いかもしれません。

 『聖闘士星矢』は、すでに広く知られていた神話をモチーフに、新たな世界像を創り上げたとも言えますね。と、大人になった今は思うのですが、当時はそんなことは全然気が付いていませんでした。振り返ってみるのもいいものです。



車田正美『聖闘士星矢』(1986-90)ジャンプ・コミックス

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