『日帰りリクエスト』
現代人が異世界に行く物語が今流行りですが、そのせいか最近よく思い出すのが『日帰りクエスト』です。一つの完成形という感じがする作品です。
『ナルニア国物語』も異世界に行く話ですが、本作はもっと気軽に出かけて帰ってきます。こちらの世界の道具と達者な口で異世界人を丸め込み、決して異世界に長居せず、物々交換で大金を得る。「普通の人間がどうやったら活躍できるか」が端的に、そして楽しく表現されているんですよね。
しかもさすが神坂さんで、異世界の方の設定もしっかりしているんですよね。『スレイヤーズ』もそうなんですが、人間と人間以外が共にいる世界で何が起こるのか、そのあたりがきっちりと練りこまれていると感じます。
あと、やっぱり主人公が明るいと物語がサクサク進んでいくんですよね。会話文が多いと楽だと作者も書いていたと思うんですが、読むほうも楽です。ちゃんとファンタジーしてて、さくっと楽しめる。そういうものが読みたい人には、今でもお勧めナンバーワンの作品かもしれません。
そして私はこれが完成形と思っているせいか、以前から自分で書くときは現代人が異世界に行くという設定はどうしても避けがちです。流行りに乗って堂々と書くタイプでもないので、一生書かないかもしれませんねえ。
神坂一『日帰りクエスト』(1993-95)角川スニーカー文庫
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