『ゴクドーくん漫遊記』

 重厚な海外ファンタジーを読む一方で、友人がとんでもないものを貸してくれました。目つきの悪い青年が主人公のファンタジー『ゴクドーくん漫遊記』です。ちなみに、ライトノベル(当時はそう呼ばれていなかったと思いますが)との出会いでもありました。

 まずですね、「一冊がこんなに早く読めるのか」と驚きました。すらすらと一時間ほどで読破できるんですね。しかも読んだ後余韻に浸るとかそういうのがない。「ああ、楽しかった」で終わりなわけです。恐るべし、ライトノベル。

 主人公は名前のとおり勇者とは正反対、自分勝手でわがまま、欲望のままに行動します。考えてみればファンタジー世界にはこういう人もいっぱいいるはずですもんね。

 ここからライトノベルもたくさん読むことになるのですが、果たしてここが入り口でよかったのか。

 そういえばこの作品、。電撃文庫で外伝があったり、ラジオドラマもありました。メディアミックスに出会った作品でもありますね。

 本格ファンタジーとともに、こういう作品も読んでいたんですよね。そして、「日本語で書くならこっちではないか? とも思いました。ファンタジー全盛で、受賞作も多かったですから。

 あと、この作品を知っている人にとって、作者のこの後の活躍はそりゃもうびっくりです。全くの予想外……(昔からエッセイは面白かったのですが)



中村うさぎ『ゴクドーくん漫遊記』(1991-99)角川スニーカー文庫

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