終話 審判の時

夜斗は社内地下ホールにいた

そこにいるのは奏音・美羽・夜架・鏡花の4人とそれぞれの親、そして瑠璃と莉琉・2人の親

さらに凪と夜美。黒鉄や草薙・夜暮まで揃い踏みだ



(なんだこの異質さは…。公開処刑にも程があるぞ)



冥賀がため息をつきながら夜斗の肩に手をおき、月宮兄妹が笑いながら夜斗の前に立つ



「八城。覚えておけ」


「悪いの水晶じゃね…?法廷から帰ってきたらその書面あったんやぞ」


「止めることもできたでしょうに…。ともかく、ここにきたということは夜斗も腹が決まったわけですね」


「ああ」


「是非僕の妹を…と言いたいところですが、あの子はもうわかってるみたいですね。いざとなれば愛人にでもしてあげてください。費用は僕らの方で出します」


「そういやお前らの親父って医者だったな」


「夜暮が継ぐ予定です。僕はこのまま、この探偵社で世話になる予定ですから」


「優秀な社員が残ってくれて嬉しいよ…」


「頑張ってね、夜斗。お兄ちゃん早く行くよ。司会私たちなんだから」



水晶は八城の腕をつまんで引っ張り、壇に上がる

呼ばれて夜斗も上がった



『月宮弁護士事務所所属。弁護士の月宮八城といいます。ぜひご贔屓に。さて…ご存じとは思いますが、私が顧問弁護を務める夏目探偵社社長が彼女を作るか否かということでこのような式になりました』



夜斗にマイクが渡され、水晶がパチッとウィンクする

予告さえないが、この少女の悪いところでもありいいところでもあるが故に何も言えない夜斗



「…とりあえず、お集まりいただきありがとうございます?とりあえず颯さんだけは許しません」


「何故ぇ!?」


「それはそれで後ほど清算しますが、この公開処刑の場で告白しろという時間に耐えられるほど心強くないんで、早いとこそこまでいきましょうそうしましょう」



壇の下で待つのは男と親を除く全員

莉琉は眠そうにあくびしている上、夜架は察しているためか訳知り顔でニコニコしている

瑠璃や渦中の4人はそわそわした様子である



「兄ちゃん」


「凪…」



壇に上がってきた凪が、夜斗に向けて何を投げる

それは夜斗が凪にあずけていたモノだ。それを開け、中身を出す



「いいもの持ってんじゃねぇか、夜斗。よし水晶」


『ほい!夜斗が選ぶときにはソレを首にかけるでいこう!』


「そうなるよなぁ…。いいけど」



夜斗はため息をついて、頭をかきながら壇を降りる

目を閉じ両手重ねて胸に置く女子達の後ろにまわる夜斗



(覚悟はした。受けてもらえるかは知らん。一か八か十六か、賭けてみるしかない)



夜斗は手にしたネックレスを、女性陣の1番右端に立つ彼女の首にかけた



『オッケー終わったね!』



水晶は楽しそうにマイクに向けて言う

首にかかったネックレスを不思議そうに手に取り、は夜斗を振り返った



「私…?」


「ああ。同棲始まってから…いや、高校生のときからな」


「そんなに前から…。気づかなかったよ」


「そういう演技をしていたからな」



他の女子たちは悔しそうな顔、悲しむ顔をしている

そんなことは目に入らず、瑠璃は夜斗に抱きついた

満面の笑みを浮かべて、涙を滲ませながら言う



「よろしくお願いします…!」



2人は互いに強く抱きしめ合う

夜架と莉琉は知っていたからか、優しげな拍手を送った



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カサネアワセ 本条真司 @0054823

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