伍・神舞-桜花清澄泉舞(偽)-
はりはりと舞っていた
憐れ 狂い咲きの花
はらはらと泣いていた
哀れ 狂い咲けぬ
織りが描いた波紋の浮かぶ白絹の水干 雛の黄を合わせ
春の日の温もりよ
花弁を透かす木漏れ日よ
やわらかに降り包み
咲き 散る ものに祝福を と
願う色目の童子水干
ぱらと開く
桔梗に遊ぶ
ぱらりと泳ぐ清い手々
ついと伸ばす五指の軌跡に
風絡む 風孕む
とん ととと とん ととと
裸足の裏に土を踏み
時折ひらりと円を描けば
尾を引いて流れる黒髪
丸い額に掛かる垂れ髪
その下に息づく二つの
思い描く
淡い水色
小鳥のさえずり渡る日向の
麗らかな 穏やかな 和やかな 薄紅の時節
ゆるゆると舞い踊り
差し伸べて求める空に
とうとうと瞼をもたげる
揺れる薄墨
潤んだ透明
一対の目に映るのは
高い空 抜ける青 鱗になった白い雲
頬を浚う豊穣の風
そして咲き乱れる花の色
嗚呼
狂い咲く花の紅色
色づいて散りゆく赤色
添い遂げる喜びに地を埋め尽くして春秋の舞い
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