ヴァ!!!

 ここ三年間はレトルトご飯、インスタント味噌汁、納豆だけを食べて生活している。食事内容としては至って健康的なはずである。


 だが何故だろう、納豆はいいとしても、レトルトご飯とインスタント味噌汁という献立はどうにも「健康的」という言葉からはかけ離れた印象を、他人ひとに与えてしまうようだ。


 しかしこれらインスタント食品は調理の手間を省くことができる上に、料理が苦手な人でもそれなりの味を楽しめるという、極めて優れた商品であるはずだ。味こそ手作りの、ある程度質のいい素材を使ったそれらに比べれば劣るというのは、まあ事実なのだろう。


 レトルトご飯に関して言えば防腐剤やph調整剤などが添加されているということはある。


 ある者に言わせればそういった添加物の類は体内に蓄積され健康を害するそうだが、はたしてそうした主張に科学的根拠があるのだろうか?私には甚だ疑問だ。


 それに、足掛け三年に及んで食品添加物にまみれたレトルトご飯を主食に暮らしている私が至って健康体であるという事実こそそうした主張への反論足り得るのではあるまいか。


 それでも、それでもだ。

何故科学の粋を集めて作られたレトルト、インスタント食品といったものには不健康なイメージが付いて回るのだろう。


 仮に炊飯器で炊いた米、手作りの味噌汁、そして納豆の三品だけを食べて生活している、と言ったならばどこにも不健康なイメージの入り込む余地などありはしないだろう。


 いや、「不健康なイメージの入り込む余地はない」というのは言い過ぎたか。

これはこれで偏った食事だという指摘があるならば、それは甘んじて受け入れよう。

だがこれまで私の食生活事情を聞いた者は、皆一様に「インスタント食品であるが故に不健康だ」といった論調で私を非難してきた。


 一体何故、インスタント食品となった瞬間に不健康なイメージが付与されてしまうのか?私の食生活は批判的な論調で断じられなければならないような物なのか?


 私は許せない。

即席であることの、どうして不健康的であるものか。

私はこの風潮を根絶せねばならない。

台所に冷蔵庫と電子レンジ以外置いてなるものか。

鍋も包丁も食器も炊飯器も絶対に導入してなるものか。

ちくしょう、ちくしょう、どうして……

どいつもこいつも偏見に固まりやがって……

なんだと言うのか……なんだと……

いつかこの怨嗟で全て焼き尽くしてやる……くそ……

この世界全てをだ……せいぜいその時を待っていろ……



ヴァ!!!



 その瞬間でした。この宇宙が突如終わりを迎えたのは。宇宙全土は急激に爆縮したのです。実に一粒の砂ほどにも満たないサイズへと圧縮され、ついには無に帰したのです。


 宇宙終焉の引金は彼の怨嗟の咆哮だったのでしょうか?

それはもはや誰にもわかりません。ただ一つ言えることは、他人ひとがちょっと変わった食生活をしているからといって不健康だと決めつけてなじるようなことしなくたっていいじゃありませんか、ということです。


 みんな好きなモン食って生きていこう。そして他人ひとが何食ってたってケチつけるもんじゃありません。


 それではまた次の宇宙でお会いいたしましょう。さようなら。



永遠おしまい

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