第38話 エルフィンとハンネス~想い遙かに ③

「いつになく警戒が厳しいようだが、何かあるのか?」

と、アメリアはなかなか出発しない補給船に、少し不安げに言った。


「さあ、わかりません。誰か要人が、緊急で来らるようです」

 アメリアが何者であるかを知らされていない補給線のパイロットは、のんびりとした口調でアメリアに答えた。


 アメリアは少し苛立ちながらも、パイロットに聞いた。

「それでは我々の出発に影響が出るのか?」

 

「いいえ、それは大丈夫です。多少遅れそうですが、その飛行船が無事着陸して、一行がこの空港から出たならば、離陸は許可されるそうです」


 アメリアは焦っていた。

 ミカエルやハンネス、そしてオリオンがエルフィンとアメリアがいないことに気づく前に、この地球を離れる必要があった。


 エルフィンは麻酔で眠っているが、麻酔が切れる前になんとしてもマルデクへ到着しなければならない。

 アメリアはじりじりとしながら、その要人が空港を出るのを待った。


  その頃、「光の泉」神殿は、大騒ぎだった。

と言うのも、統治神<シ>がお忍びで急遽、地球へ来ることになったからだ。


 統治神<シ>は、ミカエルの報告から、死んだと思っていた妹ヨシュアの子供が生きていて、女性への変性期にあることを知り、居ても立っても居られず、ベテラン医官を伴い地球へ降り立ったのだった。

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