第37話 エルフィンとハンネス~想い遙かに ②

 現アトランティス王、統治神<シ>がお忍びで地球に来ると、ミカエルのもとに知らせが入ったのは、アメリアとエルフィンが、「光の泉」教団の建物を出るときだった。


 普通ならば厳しいチェックが入るところなのだが、その時は逆に統治神<シ>が来るという緊急の知らせが、門番のもとに緊急メッセージで入った時で、アメリアたちは顔認証だけでそのまま検問を通り抜けた。


 アメリアは、

「実はオリオンの誕生日が近づいているのだ。オリオンに何か誕生日プレゼントをしたいのだが、何を買ったらいいのか分からないのだ。

 そなたはマルデク軍でオリオンと数々の戦場を共にし、親しかったと聞いている。

 プレゼントを選ぶのを手伝ってはくれまいか?」

と言い、エルフィンを言葉巧みに誘い出した。

 そしてアメリアは腹心の武官が待つ街中へ、エルフィンを連れ出した。


 街中でふたりは男たちに絡まれたのだが、その時はエルフィンが男たちを投げ飛ばし、事なきを得た。しかし実はその男たちは、アメリアの腹心が用意したおとりで、わざとエルフィンに投げ飛ばされたのだった。


「噂には聞いていたが、お前はすごいなァ。あんな大男を何人も、あんなに簡単に、投げ飛ばすとは・・・」


 ふたりはその時、休憩を取るためにカフェにいたのだが、周囲の人間たちに自分たちが人間ではないことを気づかれないように、店のメニューの飲み物を頼み、一暴れして喉の乾いたエルフィンは、その飲み物を口にした。


 エルフィンには、その飲み物が普通の味と違っていることに、気づく知識と経験が無かった。


 エルフィンはやがて睡魔に襲われ、そのまま深い眠りに落ちていった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る