森神編

第139話 獣の首の部族の件

 巨大クモと戦ってついた汚れを湖で落としていると、天気が曇りだした。遠くの黒々とした雲が近付いて来ている。


「きゃー! 降りださないでよーっ?」


 仲間たちは急いで森の中を走り、雨宿りできる場所を探した。

 しかし、


「きゃー!」

「ぞなー!」


 森の中を走っていると、ラミエルとゾナゴンが罠にかかって、木の上に網で吊るされてしまった。


「ラミエル、ゾナゴン! どうしたの!」

「助けて~!」

「ぞな~!」


 アリアが助けに戻ろうとすると、ゼルドがアリアの口をふさいで止め、木の陰に二人は隠れた。風竜も、ゼルドを察して動かずにいた。


「あ……」


 罠にかかった獲物の様子を見に、罠をしかけた張本人たちがやって来ていたのだ。

 アリアは驚いた。

 罠の様子を見に来たのは、首から下はまだ幼い人間の子どもで、首から上は森に住む獣の頭をした二人組だった。


「あれは……人? 魔物?」


 二人組は、罠にかかったラミエルとゾナゴンを引っ張って、巨大な木の根の間まで運んだ。


「ちょっと、あんたら何よー! あたしたちをどうするつもり! あたしを怒らせるとこわいんだからねー!」

「ぞなー!」


 二人組が木の根の間までラミエルたちを運ぶと、消えてしまった。ゼルドたちの位置からでは、何が起こったかは見えなかった。


「ラミエル! ゾナゴン!」

「何だったんだ、アイツら……。人間なのか? それとも、魔物なのか?」

「ゼルド、ラミエルたちを助けないと!」

「ああ、わかってる。だが、奴らの強さが未知数なのがネックだな……」


 と、話していると、アリアの影から例のリュウトが頭だけ出した。


「では、ワタクシの魔道が役に立つカナ」

「あ……リュウトさん……」

「では、ないだろうな」


 ゼルドは頭だけのリュウトに強い口調で尋ねた。


「そろそろ説明してもらおうか。お前は、何者なんだ!」

「ククク……」


 リュウトは影の中から出てきた。

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