第138話 わたしの中にいるの件

「ゼルド~~~~~~!」


 湖から上がって着替えたゼルドの元に、半泣きのアリアが走ってきて、しがみついた。


「おっ、どうしたんだよ、アリア!」

「リュウトさんが! リュウトさんが!」

「何~? どうしたのよ、アリア」

「どうしたぞなもし」


 ラミエルとゾナゴンもアリアの悲鳴を聞き付けて集まった。


「リュウトさんが……! わたしの……中に……! 入っちゃったの!」

「な、な、なんだと?」


 アリアは大泣きした。


「って、どういうことだ?」

「わたしの、わたしの影の中に! 影の中にリュウトさんが入っていっちゃったのよー!」


 珍しくアリアがびーびーと泣くので、ラミエルもゾナゴンも何も言えずに困惑していた。


「アリア! 異変があったらすぐに言え! わかったな!」

「う、うん……」

「はやく本隊のナタリーのところへ行った方がいいな。もっとも、白魔法でどうにかなる問題だったらいいが……」


 ラミエルとゾナゴンは顔を見合わせた。


「グラン帝国へ入ったら奇妙なことばかりぞな」

「あ、あたしたち……無事に帰れるわよね?」

「……雲行きが、怪しくなってきたな……」


 さっきまで晴れていた天気が、気が付くとどんよりとした雲に覆われていた。

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