第122話 そして第五ポイントへの件
『ドラゴン・レース』最後のゴール、第五ポイントはスタート地点でもあったエレミヤ城だった。
エレミヤ城では、出発のときから変わらず仲間たちは待機していた。
ゾナゴン、ラミエル、ゼルドがリュウトたちの帰りをいつになりそうかと話していると、柄の悪そうな男たちに話しかけられた。
「ふへへ、おい、お前ら勇者リュートの仲間たちだよな。賭けてみないか?」
「賭け~?」
「ああ。このドラゴンレースで誰が真っ先にゴールできるか、賭けてるんだ。お前たちもやらないか?」
ゾナゴンたちは顔を見合わせた。
「どうするぞな?」
「面白いじゃない!」
ラミエルは乗り気だったが、ゼルドは一人渋い顔をした。
「リュートもアリアも優勝するだろうが。うーん……」
「ゼルド! 何を考え込んでいるのよ! こういうときに戦ってこそ男よ!」
「はは、ラミエル……。リュートが聞いたら時代錯誤だって言って怒りそうなセリフだな」
「リュートたちは必ず勝つぞな。そして我たちは賭けに勝ってウハウハ億万長者ぞな! そうなったらリュートたちも喜ぶぞな!」
「だ、だが……」
「何よゼルド、リュートたちを信じていないの?」
「信じてるとか信じてないとかの話じゃなくてだな……」
柄の悪そうな男が再度尋ねた。
「で、賭けるのか、賭けないのか、どっちなんだ?」
「もちろん! 賭けるわ!」
「ふふふ! いいね、賭けっていうのは頭を使ってするもんじゃない。勢いに乗れる奴に勝利の女神は微笑むんだよ。で、かけ金はいくらだい?」
「有り金、全額よ!」
「ぞな!」
「な、何っ!」
ゼルドがラミエルを止めに入った。
「えっ、おい……いくらなんでも……みんなで使うとは言っていたが、元々はリュートの金だろ?」
「アリアは負けっこないから平気よ!」
「しかし……」
「まだ言うの! ゼルドはアリアを信じているでしょ!」
「う……何でそこでアリアなんだよ……」
「億万長者!」
「億万長者ぞな!」
柄の悪い男が差し出した用紙にラミエルは記入した。『かけ金、有り金全部。リュートと愉快な仲間たち』と。
「へへへ、毎度あり!」
「はーん! 何が毎度あり、なのよ。アリアが勝つに決まってんだから」
そのとき、王城でレースを見守っていた観客たちがざわついた。
「誰かが王城に戻ってきた!」
「誰も追ってきていない! ぶっちぎりの一位ゴールだ!」
ラミエルたちも空を見た。
「あ、あれは!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます