第41話 二回目のテストの件

 士官学校では、本日から二日間に渡る二回目のテストが行われていた。

 一回目のテストから二回目のテストの間、リュウトは城下町の外へ冒険したり、みんなでお茶会をしたり、遠足に行ったりと、楽しい出来事が多かった。

 テストの前に、仲良し六人はまたしても円陣を組んだ。

 テストは受けないが、闇魔法が使える子どものドラゴン、ゾナゴンも新メンバーとして円陣に加わった。

 六人と一匹は大きな声で叫んだ。


「ベストを尽くそう!」


 リュウトの二回目のテストは、すべての科目で実力を遺憾なく発揮することができた。武器を落としたりせず、最後まで落ち着いてやることができた。

 それは、これまでの経験がリュウトに力をつけている証しだった。

 学校で試験を受けるより、大蛇の魔物に立ち向かう方がずっとこわい。

 こわい経験を積むことで、小さなことがこわくなくなる。恐怖心を乗り越えるには、こわい思いをたくさんするのが一番有効だ。派手な活躍をするのは仲間たちで、そんな仲間たちに支えられながらギリギリなんとか成長する。そんな成長の仕方だけど、リュウトは精神的、肉体的に強くなっていた。


 テストが終わって次の週、テストの結果が教壇前に開示されていた。


「ええと。オレたちは」


 コンディスが三人の名前を確認した。


「おっ、ウソだろ!」


 コンディスは驚いた。

 フレンもリュウトも、貼りだされている成績を見て驚きを隠せなかった。


「に、二位!」


 コンディス、フレン、リュウトの名前は二位の欄にあったのである。


「うおおおおッ! 二位だ! 二位だー!」


 三人は大喜びだった。

 一位の欄は、不動のシャグラン、ハザック、シェーンが君臨していた。


「やったー!」

「二位だって」

「信じられない!」


 リュウトは熱いものが胸にこみ上げてくるのを感じた。

 努力をしても、報われないと感じたことは今までに何度かあった。

 自分には才能がない、上に行くことはほぼ間違いなくない。ずっと自分の力を信じられないでいた。

 それが、自分の力で結果を出したのである。

 才能がないと諦めないでよかった。自分の力を見捨てないでよかった。

 そう思える瞬間が、自分の人生にあるとは思わなかった。

 涙が出そうになるくらい気持ちが熱くなった。


 ――ベストを尽くせた。


「次回でも二位を取れたら、俺たちは竜騎士だ!」


 コンディスが拳を握りしめて言った。


「ああ。次回もこの調子で行ければ問題ない」


 フレンも興奮が隠せないようだった。

 リュウトは二人に言った。


「二位じゃないよ、二人とも」

「え?」

「最終試験では、一位を目指そう」


 コンディスとフレンは驚いて目を丸くしていた。

 そして、大きくうなずいた。


「リュート!」

「そうだな!」


 三人は声をそろえて言った。


「一位を目指そう!」

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