第20話 本当の幸せ
マクベスさんがモーグル王国に帰って、1年になります。
彼は1ヶ月に1度は本社に来てくれます。
わたしも数度モーグル王国に行きました。
ハリスさんとヤーラさんが、わたし達が逢えるように、画策してくれてるのです。
そうそう、メアリちゃんが学校を卒業して、この4月からカトウ運輸に無事入社し、経理部に配属になりました。
頑張って勉強していましたから、入社即戦力です。
大陸にある全ての国に物流センターが出来て大忙しでしたから、本当に助かっています。
そうだった、実はご報告があります。
マクベスさんとわたしは正式に婚姻しました。
ふたりとも天涯孤独の身なので、結婚式は考えていませんでしたが、経理部や警備課の皆さんが企画、その他各部門の皆さんが協力して下さって、素晴らしい結婚式を挙げることができました。
奴隷になって最悪な境遇だったわたしにとって、こんなに幸せな日々が訪れるとは夢のようです。
真っ白なドレスに銀のティアラ、手には白を基調として鮮やかな赤色の花を混ぜたブーケを持ったわたしは、幼い頃に見た一番上のお姉様にも負けないくらいに着飾っていました。
結婚式は本社があるナーラの教会で行われましたが、モーグル王国からも多数の参列を頂きました。
経理担当のマースさん、警備隊の皆さん、マクベスさんが商品を卸していた街の皆さん、山中で倒れていたマクベスさんを助けて下さったセーラさんもおられます。
本日参列して下さった皆さんのお陰で、わたしは世界一の幸せ者になれました。
式では、カトウ運輸に入社してから、親のように様々な面で力になって頂いた番頭のヤング様が父親代わりにレッドカーペットをエスコートして下さりました。
その先には緊張した面持ちのマクベスさんの姿があります。
わたしがマクベスさんの隣に立つと、神父様により厳かな儀式が執り行われ、わたし達は永遠の愛を誓い合いました。
教会を出てライスシャワーを浴びながらわたし達は、多くの参列者の皆さまに挨拶をしました。
ブーケトスは、当然ヤーラさんにですよね。
わたし達のことを本当に喜び、嬉し泣きしてくれているハリスさんの横で、ブーケをナイスキャッチしたヤーラさんは、ハンカチでハリスさんの涙を拭きながら笑顔で手を振ってくれました。
次はヤーラさんの番ですね。
あの鈍感なハリスさんをけしかけてやりましょう。
わたし達ふたり、いえ正確には3人ですね、が幸せになれたことを神様に感謝したいと思います。
本当にありがとうございました。
完
奴隷に落ちた貴族令嬢 ~最強魔法戦士は戦わない スピンオフ② ~ まーくん @maa-kun
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