どうしたら君の視界に入れますか

@kakenn

第1話

どうしたら君の視界に入れますか。


名前も知らない君をずっと見ていました。


▪️▪️▪️


16:00

「いらっしゃいませ。2名様ですか。」

「はい。DAMでお願いします。」

「かしこまりました。では3番のお部屋へどうぞ。」

私は松本百桃。先月、通信制の高校に入学したばかりで、今は家から徒歩20分の所にあるカラオケでのバイトの時間だ。コミュ二ケーションをとるのが苦手だから本当はバイトなんてしたくないけど、親に暇なんだからやりなさいと言われて始めた。まだ始めたばかりで憂鬱に感じることが多い。でも、やめたら親になんて言われるかわかんないしやめれない。


16:30

部屋の掃除が終わってカウンターに戻ってくるとちょうど女の子が2人やってきた。

「いらっしゃいませ。2名様ですか。」

「4人で。」と、言うと後から男の子が2人来た。

右にいるのが制服を気崩してる少しチャラそうな子で、左の子は黒髪メガネの真面目そうな子だった。しかも、その制服...私が行きたかった東高校のものだ。

「......」

「すいません。店員さん?」

「あ、申し訳ありません。機種はご希望ありますか?」

「DAMでお願いします」

「では5番のお部屋へどうぞ。」

楽しそうに4人で部屋へ向かっていった。

そうしたら、後ろから急に先輩が話しかけてきた。

「百桃ちゃん、いまさっきの子かっこ良かったね」

「え、え、あ、そうですね」

「どっちの子がタイプなの?」

「あはは。タイプとかわかんないです。恋したことないんで。」と、笑って濁した。でも本当は左にいた黒髪メガネの子にドキドキした!初めての一目惚れだった。でも私は一緒にいた女の子達みたいに可愛くないし、とても地味だし暗い。だから、告白しようなんてことは一切思わない。まず、自分から話かけることすら無理なのだから。

「百桃ちゃーん。1番の部屋片付けといてー」

「はい、わかりました。」あと1時間頑張ろ。



「ねえねえ、陸斗くん何歌う?」

「んーー、先歌っていいよ」

「おっけー、じゃあどれにしよっか」

(女子達が楽しそうに決めている)

「おい、陸斗。なんで断んないんだよ!」今いる女の子は今さっき声をかけて来た子達で名前さえ知らない。そして、それを断らなかった友達に腹をたてている。

「ごめんて、大輝。彼女と別れたから新しいの作りたいんだよ〜。てか、受付のスタッフの子可愛くない?」

「見てない。」

「えー、お前ほんと女子に興味無いよな。顔いいのにもったいない。」と、言って陸斗は女子と一緒に歌い出した。

受付の子の話になった時大輝は顔が赤くなっていた。でもカラオケは暗くて顔が見にくいから、陸斗は大輝の顔が赤くなったのに気づかないでいた。

よかった、バレてないみたいだ。大輝は心の中でとても安心していた。あの人可愛かったな。めちゃくちゃタイプだった。でも、大輝はモテるけど付き合ったことはない、恋愛経験0だから百桃に話かける勇気が出なかった。話しかけても変な人に思われそうだからやめておこう。今日は陸斗に付き合ってやろう。


▪️▪️▪️


8:10

「百桃ー、おはよー」

「おはよう、梓」

「まだ8時なのに用意してどうしたの」

「今日は登校日だから急いでるの!もう行くね。いってきます。」

「ええええ、なんでええええ、お兄ちゃんと遊ぼうよ!1年振りに日本帰ってきたんだし百桃と遊びたいー。」

「バイトと学校で忙しいから無理」

「えーーーー」

「遅れるからもう行くね」

「冷たいなー。いってらっしゃい。気をつけてね!百桃は可愛いんだから変な人についてっちゃダメだよ」

・・・ ・・・・・・・・暇だ

今日は百桃と遊ぼうと思ってたのになー。何しようかな。というか、気になることが1つある!百桃が俺を梓と呼んでいることだ。前はお兄ちゃんって呼んでくれていたはずなのに。また、お兄ちゃんって呼んで欲しい。梓は、世間一般に言われるシスコンと言うやつだ。それもかなりの。1年間のオーストラリア留学から先週帰ってきて、さらに悪化したようだった。



8:15

『プシュー』(バスのドアが開く音)

通信制の学校という条件で高校を選んだので、徒歩で行ける距離ではない。だから30分かけて学校までバスで行く。

その時間ぼーっとしていると、久しぶりの登校で、とても憂鬱だなと考えてしまう。私は勉強が嫌いな訳じゃないし、友達も気の合う子だけと一緒にいるから苦痛に感じたことはない。むしろ、勉強は好きで、友達と喋ったり、休みの日にカフェに行ったりすることも楽しくて大好き。

なのに、小学校の頃から学校が大嫌いだ。小学校の時は、かろうじて学校に通えていた。それでも、周りの子達と比べると休む日は多かった。中学校に上がると休む日は急激に増え、ついに中学2年生の夏から不登校になってしまった。親や先生は、最初は学校に行かせようと私を説得していた。でも、私だって毎日学校に言って友達と楽しい時間を過ごしたいと思っていた。でも、その気持ちに体がリンクしなかった。そして、その思いが親に伝わったんだろう。

「学校に行かなくても卒業はできるし、勉強も自分でできているし、必要なら家庭教師もつけてあげるよ」と言ってくれた。その優しい言葉に私は申し訳なくなって、

「家庭教師は要らない、勉強は自分でするから」と言って、ずっと家にいた。勉強は好きだし、文芸の創作が好きだから私は大学で文学について学びたいと思っている。だから、勉強だけはするって決めている。だから、高校選びも自分で勉強できる通信制を選んだ。

今では、学校にちゃんと通いたかったという思いがあり、1度でいいから学校行事というものを楽しみたかったな.........。

「はっ、だめだめ」首を振る。こんなネガティブになったらもっと学校に行きたくなくなっちゃう。十分今の生活を楽しいんだから我がまま言うのはやめよう。

8:45『次、止まりまーす。危ないですので、バスが完全に停止してから座席をお立ち下さい。』

バスが止まって、お礼を言ってからバスを降りる。学校までまた歩き始める。その時ふと思った。昨日カラオケに来た黒髪メガネの人かっこよかったな.....また来ないかな.....これが恋なのかな。恥ずかしくなって頬を赤くした。


▪️▪️▪️


8:30

「大輝、おはよー」

「おはよう、結局昨日の女の子達と上手くいった?」

「いや、どっちも彼氏いるみたいだからやめといた」

「は!?女の子から話しかけてきたのにまじかよ」

「彼氏が構ってくれないからヤキモチ妬かせようと他の男と遊びたかったんだってさ」

「俺には理解できないわ」

「おい、大輝!その言い方だったら俺には理解出来るみたいに聞こえるぞw」

「そういえば昨日の店員可愛かったなー。次行った時声掛けようかな」

「え、あーやめた方がいいんじゃないか。急に話しかけても変だろ?」

「嘘!?変かな?」

「 うん、だからやめとけよ」

大輝は内心慌てて陸斗があの店員に話かけるのをやめさせた。陸斗は常に彼女がいるようなやつだから、女の子の扱い方が慣れている。そんな陸斗があの子と接点を持ったらすぐに付き合いそうで怖かったのだ。また今度あそこのカラオケ行ってみようかな。話しかける勇気はないけどまた会いたい。


教室について皆とおはようと挨拶を交わす。はー。今日もだるい学校が始まる。退屈だ。そういえばあの子も高校生くらいに見えたけど、どこの高校なんだろう。俺の学校はバイト禁止だけどやってるやつはそれなりにいるから、もしかしたら自分の高校の可能性もあるかなとか考えたりもした。その後も、彼氏はいるのか、使ってる香水は何か、休みの日は何をしているのか、趣味は何かなど沢山想像した。そして、付き合ったら...とかも考えたりした。やっぱり、声かけたいな.....いや、やっぱりやめとこ。でも会いたいからカラオケには行ってみよ。


▪️▪️▪️


15:50

「いらっしゃいませー」

「お部屋ご希望ありますか?」

「どこでもいいです」

「では3番のお部屋にどうぞ。」

今日でバイトを始めて3ヶ月がたった。バイトにも慣れてきた。そして、今日金曜日はとてもバイトが楽しみ!黒髪メガネの子が1人でこのカラオケに来る日だから!まだ名前も知らないし、出会った時と比べて進展なんてないけどこの時間は私の楽しみになっている。最近あの子のことを考えると付き合ってデートをしてる妄想をしてしまう。だから、もっと喋ってみたいとつい思ってしまう。今日、話しかけてみようかな...そろそろ学校終わる時間だし来る頃かな。



16:00

キンコーンカーンコーンキンコーンカーンコーン「大輝ー、一緒に帰ろーぜ」

「おー陸斗。今日は無理。金曜は用事あるって言ってるだろ」

「いつもそうだけど何してんの?」

「関係ないだろ。そんな大した用事でもないよ。じゃあな。」

「そんなに急いでんのかよ。じゃあな。また来週。」

早くあの子に会いに行こう。カラオケに向かっているとカップルが手を繋いで帰ってるのを見て、俺もあの子と手を繋いで歩きたいなと想像した。そして、頬が赤くなる。想像したらとても可愛かった。でも、話かける勇気はないんだよな。そんなことを考えていると、カラオケについた。



16:30

「いらっしゃいませー」

来た!!!私頑張れ!フランクにナチュラルに話かけよう。心臓はバクバクだけど、落ち着いて話しかける。

「あの最近よくこられてますよね。東高校から少し距離あるのに、カラオケ好きなんですか?」

「え、」

「あ、突然ごめんなさい!よくお見かけするので..」

やっぱりいきなり変だったかな、驚いてたし。最悪だー。少し前の自分を殴りたい気分だ。付き合ってみたいなんて我がまま思わなければよかった。

「大丈夫ですよ。俺のこと覚えててくれて少し驚いただけなんで。........あの、別にカラオケ好きな訳じゃないです。」

「そーなんですね。....あ、お部屋5番のお部屋にどうぞ。」

「ありがとうございます」と、言って部屋の伝票を受け取る。今、今言わなきゃ話す機会が無くなるかもしれない。もっと話したい。

「あの.......引かれるかもしれないんですけど、ここにきてるのはあなたと会うためです。あなたのことが知りたいです。名前とか教えてもらえませんか?」

え!?それってどういうこと!?私に会いに??ほんとに!?そうだ早く名前答えないと!

「松本百桃って言います!数字の百に果物の桃で百桃って言います。」気になっている子から私に会うためって言われてとても嬉しかった。だから、名前を言う時に思わず声が大きくなってしまった。嬉しすぎて、今自分がどんな顔をしているか分からない。大丈夫かな。変なとこないかな。

「百桃ちゃん。俺は佐藤大輝って言います。大きいに輝くって書きます。」

「大輝くん。かっこいい....」

少し沈黙が続くと、他のお客様がやってきた。それに大輝くんは、気づいて僕行きますねと言って去っていった。



「いらっしゃいませー」

「予約してるんですけど」

「小野様ですね。18番のお部屋へどうぞ。」

接客を終えて、いまさっきのことを思い出した。思わずにやけてしまう。だって、大輝くんが私を知っていてくれた。それに、私に会うために来てたなんて、こんなに嬉しいことがあってもいいのだろうか。 勇気出して話しかけてよかった。それに名前も知れた。ずっと、『あの子』だった黒髪メガネの男の子は『大輝くん』に変わったのだ。



大輝は何も歌わず顔を手で隠すようにソファに仰向けで寝転がっていた。

「百桃ちゃん。可愛かったな。」

本音が漏れる。話かけてくれたことが嬉しかったし、何よりカラオケに一人で来ている理由を伝えてしまった。後悔はしてないけど、引かれてないか心配になる。もっと話したい。LINE交換できないかな。LINEじゃなくてもインスタでいい。また帰りに聞いてみよう。大輝の中でも、『あの子』だったカラオケの店員は『百桃ちゃん』に変わったのだ。



19:30

大輝は時間になったので部屋を出る。百桃が会計をする。2人とも話したいけど何を言えばいいかわからなくて、少し気まずい雰囲気が流れている。すると、今度は大輝から話しかけた。

「桃ちゃん、LINEとか交換できないかな。無理ならインスタとかでもいいから...ダメかな?」

「いいですよ!私もLINE交換したいと思ってました。でも今スマホ使えないんで少し待ってもらえませんか?バイト終わるまで、30分あるんですけど大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ。外で待ってるね。」

大輝は外に出て、LINE交換できるのを喜ぶ。夏だから7時と言ってもまだ明るい。でも、30分もすれば暗くなってくるかな。百桃ちゃんはどうやって帰るんだろう。歩きとかだったら送った方がいいのかな。でも、いきなり図々しいかな。仲良くもない俺と歩いて帰る時間が気まずいとか思わせたら嫌だしな。恋愛経験が無さすぎて、こんなことで迷っている自分が嫌になる。陸斗だったらどうするか考えてみたけど、陸斗なら絶対送るだろうと思った。陸斗は普段はチャラいけど恋愛経験豊富で、こういう時は頼りになる。だから、送ることに決めた。そんなことを考えていたら15分くらいで百桃ちゃんが来た。

「待たせてごめんね」

「全然大丈夫だよ。逆に早かったね」

「うん。大輝くん待たせちゃうと思って少し早くあがらせてもらったの」

「そーなんだ、わざわざありがとう」

「LINEだよね、QRでいい?」

「うん」

「じゃあこれ読み取って」

「おっけー、.........できた!追加きた?」

「うん、きたよ」

「ありがとう。あの、えーと、いつもどうやって帰ってるの?」

「歩いたり、車だったりあんまり決まってないよ」

「え!?車!?高校生かと思ってた」

「あ、違うの。お兄ちゃんに車で送ってもらってるの。私高校1年生だよ。大輝くんは?」

「そうゆうことか。びっくりしたw俺は2年だよ」

「ひとつ先輩ですね。あのタメだったら失礼ですか?」

「ううん、タメで話していいよ。そっちの方が距離なくて嬉しいから。今日は歩き?」

「はい。」

「じゃあ1人で危ないから送るよ」

「え、ありがとう」

2人は百桃の家に向かって歩き出した。

百桃は、まだ大輝くんといれると思って嬉しくなっていた。大輝は、誘い方変じゃなかったかなとか、次何話そうかなとか考えてとても緊張していた。大輝が話しかけた。

「百桃ちゃんってどこの学校?」

「ここから結構距離あるんだけど先橋高校の通信制の学校だよ」

「そーなんだ、だからバイトしてるんだ」

「うん、暇だから親がやりなさいって言うから始めたの」

・・・・・・・・・・・

お互いぎこちなくてすぐに沈黙になってしまう。

「.........あの!カラオケに来るの私に会うためって....どういう意味か聞いてもいいかな」

「.........」大輝は自分の発言を思い出して恥ずかしくなって黙ってしまった。

「無理に答えなくていいよ。変なことを聞いてごめんね。あはは」と、笑って濁す。

「いや、ちょっと恥ずかしくて黙っちゃっただけだから大丈夫。俺初めて来た時百桃ちゃん見てすごいタイプだって思って、でも声かける勇気なんてないから毎週金曜日だけ会いに行ってたんだ。」

百桃は顔を赤くした。少し身体も熱くなった。だって、一目惚れしてかっこいいって思ってた大輝くんにタイプって言われてとても嬉しい。私なんか、可愛くないのになんでタイプって言ってくれたんだろう。でも今はそんなことどうでもいい。私も自分の気持ち伝えよう。

「あの、実は私もね大輝くんが初めて店に来た時、すごいかっこいいなって思ってた。それから金曜日に来るのずっと楽しみにしてたの。先輩にも言ってあの時間帯だけは私がいつも受付してたんだよ。」

大輝まで顔を赤くする。いつも受付が百桃ちゃんだったのは俺に合わせてくれてたなんて聞いて嬉しくてたまらない。しかも、百桃ちゃんも楽しみにしてくれてたなんて嬉しすぎる。この時間が永遠に続いて欲しいと思った。

20:20

「あの、家着いたから、送ってくれてありがとう」

また会いたいけど.....誘っていいのかな.....

「ううん、大丈夫だよ」

また会いたいな.....誘いたい.....

大輝が声を出した。

「また会いたいんだけど今週の日曜日とか空いてない?」

「空いてるよ!私も会いたい」

「ほんと!?じゃあどこ行くかはLINEでまた話そ」

「わかった、じゃあまた日曜日に。」

「うん、日曜日に。じゃあね。」と言って大輝は家に帰っていく。今から日曜日が楽しみだ。とてもワクワクしてる。めっちゃ幸せな日だ。


▪️▪️▪️


20:25

「ただいま」

「おかえり、百桃!今さっき玄関前で話してた男だれ?」

「知り合い」

「友達でもないの?どういう知り合い?」

「梓には関係ないでしょ!!」と言って自分の部屋がある2階へ上がり、ベッドにダイブした。梓には関係ないし、あんな怒られるように言われたら私だってうざく感じる。そんなことより、大輝くんが会いたいって言ってくれた。どうしよう。めちゃくちゃ嬉しい。しかも、日曜日に会える。これってデートだよね....?何着ていこう。すぐに立ち上がってクローゼットから服を出す。何着も見比べて服を選ぶ。よし、これにしよう!膝上くらいの丈まである白のワンピースに茶色のベルトでバッグは麦わら素材の小さいショルダーを選んだ。

21:00

「LINE♪」通知音がなった。大輝くんからだ。

(今帰ったよ。日曜日行きたいとこある?)

((特にないけど、大輝くんは?))

(じゃあ水族館とかどう?)

((いいよ!小さい時に行ったっきりだから久しぶりだなー))

(俺も)

LINEは長く続いた。お互いその日はドキドキしていて夜眠れなかった。



▪️▪️▪️


9:30

「百桃、おはよう」

「どこ行くの?」

「友達と水族館、行ってくるね」

「いってらしゃい」

梓に男の子と行くって言うとうるさいから友達とって嘘をついてしまった。でも正確には嘘ではない。

しかし、梓は百桃が嘘を着いてるように感じて疑っていた。そして、内緒で入れておいたGPSを使って後からついていこうと思っていた。

百桃はそんなこと知らずに大輝くんに会うため集合場所の駅へ向かう。

9:55

そして、少し早くついた。まだ予定していた時刻の5分前だ。それなのに大輝くんの姿が見えた。白のインナーに黒のパンツ、黒のシャツを羽織っている。すごく大人ぽくてかっこいいと思った。すると大輝くんが私に気づいて近づいてきた。

「百桃ちゃん。おはよう。」

「おはよう。私少し早くついたと思ってたのに待たせてちゃってごめんね」

「全然大丈夫だよ!俺が早く着きすぎただけだし.......今日めっちゃ可愛いね」

「..........」恥ずかしくて百桃が黙ってしまう。

「あ、いつも可愛いよ!!!でも今日はいつもより可愛いし、服も似合ってる」

「ありがとう」百桃は顔を真っ赤にした。可愛いって言われて嬉しいけどそんなに言われたら恥ずかしい。

「大輝くんもかっこいい」自分で言っといて恥ずかしくなる。百桃が顔を赤くしているのをみて大輝にまで伝染した。2人とも顔が真っ赤になっている。

「百桃ちゃん、電車の時間あるしもう行こうか」と言って手をさし出された。これって手繋ぐってことだよね?付き合ってないのにいいのかな?とか思いながら大輝くんを見ると恥ずかしそうにしているから、私だけがドキドキしていているんじゃないんだ、大輝くんも勇気を出してくれているんだって思って手を握った。

「行こうか」












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