第10話
イチャつくクーガたちに向かってステッキを構えるのはボットと同じローブを着た小人だった。
ローブの顔の部分は暗くなっているけど、その暗がりからのぞく目はすでに涙目で手に持つステッキもフルフルと震えていた。
「何者だお前たち。こんな……こんな所まできてイチャツクなんて、アレだな――――バカップルてやつだな!」
怯えながらも気丈に杖を振りかざしてクーガたちに詰め寄る。
「何者なんだな!」
それを見たクーガたちは顔を見合わせてその小人に向き直りソラが代表して答えた。
「貴方はボッテさんかしら」
「なっ!なんでオイラの名前を知ってるんだな」
「私たちはサンタさんに頼まれて魔女のお弟子さんたちにプレゼントを渡しに来たんです」
「サンタさんから」
「そうだ。サンタさんから魔女のお弟子さんにプレゼントを渡すお手伝いを頼まれたのだ」
「なんだって――。いや、でもそれなら――――」
「それで君はボッテ君でいいかな?」
「っえ?……あ、はいそうです」
「そうか良かった。ボッツ君から君が一緒に図書館に来ていたのだと聞いて探し回ったのだが見つからずにな、図書館中を探し回っていたところ消える足場に引っかかってここに落ちて来たのだ。で、君はここから自力で帰れるのかね」
「む、無理ですー」
「そうか。ところでここは何なのだね」
そう訊ねながらソラ達は周りを見渡す。
そこはむき出しの岩盤の上にレンガ造りの壁が織りなす空洞だった。その中央に瓦礫の山があり、その天辺にクーガたちは落ちて来たのだ。
「ここは城の地下にある古代遺跡にして実験廃棄場所です」
「実験廃棄場所?」
ソラが訊ねるとボッテは申し訳なさそうに指をつんつんさせながら述べた。
「はいです。ここはお師匠様が創られた実験機の廃棄場所なんです。だから行き来を想定して無くて帰り道が分からないんです」
その言葉を聞いてソラはクーガと顔を見合わせた。
「なるほど」
「次の任務は迷宮からの脱出ですか」
「そう言うことだな」
「ではさっそく出発しますか」
「待て」
「ワン」
しっかり躾けられたクーガは犬のようにお座りしてソラの指示に従った。
「まずは情報収集だ。ボッテに話を聞くぞ」
「え?ここに出てくる敵ですか」
ボッテはソラに訊ねられて難しい顔で唸る。
「そうですね。あまり動き回ってないので分かりませんがデカいネズミとかアリが居ましたね」
「ネズミとアリか」
「あと、敵と言えるか分かりませんがお師匠様が捨てた実験機が暴走して徘徊してるはずです」
「破棄された機械か……それが中ボスになるだろうな」
「なぁ~に、何が出て来たって俺が叩き切ってやりますよ」
「うむ期待してる」
「それじゃぁ行きますか」
「まて、その前にもう一つ――――」
そう言ってソラは背後のガラクタを見上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます