第11話

「このガラクタの山ですかい」

 クーガはソラが興味を持っているガラクタの山、クーガたちが落ちて来た時に緩衝材になったものをよく見る。

 それはゴミの山に見えていたがよく見ると木製の機械、絡繰り仕掛けの人形にも見えて来た。

「ほれ、これなんか顔に見えるだろ」

 と、そう言ってソラが持ち上げた丸い物体には確かに目と口のような物が見える。が、クーガは――――

「それはシミュラクラ現象じゃないんですか」


 シミュラクラ現象とはヒトが三角形に並んでいる三つの点を見るとヒトの顔に見えるという錯覚のことを言う。


「コレがそんなつまらないものに見えるか。見ろ、この目の部分の宝石を。それにこの口がパクパクする感じ、どう見ても顔だろ」

「そうですね。その口が人の口というより金魚や鯉みたいでまるでインスマウスの顔みたいではありますが」

 クーガはソラが手に持ちピコピコ動かす物体を見てげんなりとした。

「いっそエラでも付いてりゃいいのに」

 そう愚痴るクーガを見ながらケタケタ笑いながら手に持った首をいじくるソラ。

 それを見るローブの小人のボッテはジトッとした目で愚痴る。

「それでそのガラクタがどうしたんですか。まったくいちいちイチャつかなきゃ話もできないんですか」

 これだからお師匠様もあんな物を作ったりするんですよ。とクーガたちに聞こえないように愚痴るボッテにクーガたちは笑いながら謝罪を述べる。

「いやぁ~すまんすまん。それで社長このガラクタは?」

「それはな――――」

「あっ、ちょっと待ってください。分かりましたよ」


 クーガは喋ろうとしたソラを遮り、前かがみになりこめかみに人差し指をグリグリさせながらどこぞの探偵や刑事みたいな感じでうさん臭く宣ったのたまった


「これはあれでしょう。迷宮をさまよった挙句実はスタート地点が出口でこのガラクタがボスなんですね」

 クーガはドヤ顔で決めポーズを取ってソラが持つ絡繰りの頭を指さす。その背後では「どやあああああああああ!」とエフィクトが轟いた。


「違うよ♡」

 それを満面の笑みで切り返すソラ。そして膝から崩れ折れるクーガ。

「何を言ってるですか。そのガラクタが襲ってくるならオイラはこんなとこでぐずってねぇです」

 と、ボッテももっともなことを言ってクーガに追い打ちをかける。

「うぐぅ。良い閃きだと思ったんだけどな」

「まぁ、悪くない着眼点だと思うよ。」

「これでそちらのお姉さんの推理も間違ってたりしてwww」

「あっ(怒)」

 ソラはボッテの言葉にイラッっとしたのか目を据わらせて手にした鞭で床を叩く。

「ひっ!」

「こいつ喧嘩売ってんのか?」

「ソラ社長、これ仕様ですから。」

「この運営喧嘩売ってんのか?」

「喧嘩じゃなくて戦争吹っ掛けてきてるんですけどね」

「そうだったな。ふー、感情的になるのはよくない」

「そうですね。それよりこのガラクタは何なんですか」

「そうだな、引っ張るのもよくない。ではよく見ておけ」

 そう言うとソラは一つのスキルを使った。

「【フィールドサーチ】」

 するとガラクタの山が光り出した。

「……こ、これは」

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