第8話
ソラは誰も見ていないと思って大胆な行動に出ていたが、NPCのボッツが見ていることに気が付いて顔を真っ赤にして、抱えていたクーガの頭から胸を引きはがす。
「まいったね。ついついゲームの中で人目がないと思って調子に乗ってしまったが、NPC達の目があったのを忘れていたよ。」
「気になるモノなんですか」
「そりゃそうさ。ただのAIならともかくこのゲームのNPCは宇宙人が作った者だけあってNPCというよりも宇宙人が操作してるんじゃないかと思うほど情緒に富んでいるからね」
「確かに自我を感じますしゲームのNPCみたいな決められた動きしかできないわけでもありませんしね。」
「だから見られている感が強くてね。ご褒美はまた今度だ」
そう言ってソラは改めてクーガの肩で座りなおして、貰ったアイテムのウインドウを見る。クーガもベタベタしない程度に首を動かしてウィンドウを覗き込む。
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ランク・☆☆☆☆☆☆
種別・マジックアイテム
効果;敵一体が召喚した竜種を一度に送還する。竜種のランクがEXでなければ数に限りなく効果を発揮する。
これにより召喚術を解かれた術者は再召喚迄のクールタイムが通常の三倍になる。
この旗は竜を召喚して制御しようとした魔女の徒弟が自習中に暴走した竜を送還するために、送還の機能だけを追求して作られたマジックアイテムであり、その機能は折り紙付きだが作った本人的には「ドラゴンの制御が目的で送還するだけでは失敗作です」と不満足である。
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「これはいいモノだ」
そう言いながらぺしーんぺしーんと壺のように鞭で叩くソラはアイテムの受領をOKする。
「それで君がボッツでいいのかな」
クーガはソラに鞭打たれながら訪ねるのだが、ボッツの白い目で見返される。
「そう言う人前でイチャつくお2人は何者ですか?」
「コレがイチャついてるように見えるのか」
とクーガがボッツに訊ねるとボッツはさらにジト目で、
「どう見ても付き合いたての浮ついたカップルにしか見えませんよ。爆発しろ」
「おい、こいつ喧嘩売ってんのか」
「たぶん仕様だと思うから運営が意図したものだと思うな」
「よし、やっぱりこの運営喧嘩売ってるんだな」
「喧嘩じゃなくて戦争だけどね。そんなことよりコレサンタさんからの贈り物」
ソラはこめかみを引くつかせるクーガをつんつんしながらクエストを進行しようとする。
「えっ!?オイラにサンタさんからプレゼントですか」
「そうそう。ほら受け取って」
「ありがとうございます」
「それで他のお弟子さんにも送りたいんだけどボット以外の居場所は分かるかな」
「それでしたら――――」
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