第17話


「ふふふ、スライムを狩り続けること2時間。ノエルのLv,は5になりました」

 すでに歴戦の戦士の風格を出そうとしているノエルだったが、しかし、まだスライムしか倒してない。

 しかも服1枚のノーパンである。

 しかし、そんなノエルだったが。

「最後の赤いスライムが宝箱を落としてくれました」

 そう、初のアイテムドロップだ。

 FCOにおいて宝箱に入ってドロップするアイテムはレアもの確定だから、この宝箱も期待できる。

 しかもただの木箱でなく、真鍮の金具がついたちょっとよさげな宝箱であった。

「さて、さっそく開けます」

 ノエルが宝箱を開けると中から光があふれて――――


「へへへ、似合いますか?似合いますか」

 装備枠的には布の服一枚だが、見た目はメイド服のノエルの首に長いカーキ色のマフラーが巻かれていた。

「かっこいいじゃないか」

 ソラが誉め、クーガも素直にうなずく。

 重ね巻きして口元を隠すメイドは確かに格好良かった。

「このマフラー「孤高の襟巻」って言うんだそうです。運の値を5%アップさせる効果があります」

「それ、普通に激レアじゃん」

 パーセンテージアップの装備は初期はしょっぱいが、キャラが育ってくると効果が跳ね上がって来る上級者向けのアイテムだ。

 しかも装飾品で運の要素が上がるものは今でも珍しい。

「こいつ、リアルラックも高めか」

「クーガ君は羨ましいでしょう」

「ええ、ソレはもちろん」


 さて、いったん街に戻ってギルド協会で討伐報酬をもっらた後、スライムの落とした素材を売ってゴールドに変える。

「FCOのゴールドの単位ってEVE?なんて読むんですか。」

「エヴァだな。まあそこは世界観の設定上の話だしツッコむなよ。」

「あら、私はそれはそれで歴史とか好きだから気になるけど」

 そういう楽しみ方もある。

 だが今はノエルの装備の買いなおしだ。

「これで一応初期装備に、槍の新調と揃えられました」

「レベルアップで得たステータスポイントは」

「運を高めにバランスよく振り分けました」

「それじゃあメインシナリオを進めますか」

 ソラがそう提案するが、ノエルは心配そうに問い返す。

「もう行って大丈夫なんですか」

「いや、もともと始めて最初にメインシナリオには行けるバランスなんだぞ。どっかのバカがいきなりカジノに行かなかったら」

「くう、クーガさんに馬鹿って言われるのはなんかむかつきます。でもそうですよね、普通ならカジノより先にメインシナリオに行きますよね。でも、そのおかげでノエルはギャンブラーのジョブを手に入れましたよ。」

「それ、初期で装備するのはやめておけよ。負ける気しかしない」

「運高めなら使えるんじゃないんですか?」

「俺らが削ってこいつが止め、ならありか?」

「どうせ最初は盗賊退治だし試しにいってみるかい」

 そうソラが言うので、盗賊退治(さらわれた商人の娘を助けに行く。)イベントは、盗賊相手の追いはぎ実験へと変わった。

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