第15話

「俺、RPGで最初にカジノに直行する奴初めて見た」

「私も初めてかなぁ」


「おらぁ、5カードぉぉぉ」

「ロイヤルストレートフラッシューーーーーーーー」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「しかも負けてるし」



「せんぱぁぁぁぁい、お金かしてくださぁぁぁぁぁあいいいいい」

「ええい、寄るな。それよりスライム狩りに行くぞ」

 カジノでスッタノエルを引きはがしてクーガが先を行く。

「へへへ、スライム30匹倒して15ゴールド。2匹で1ゴールドの命。リョコウバトを思い出しますね」

「お前、その時に生まれてないだろ。いや、確かに命が安いのはどうかと思うけど」

「へへへ、今のノエルは0ゴールド。男の人を5人相手すれば1ゴールド?」

「FCOに売春はありません」

 完全にヤサグレているノエルにソラが言う。

「奴隷に落ちたやつも居るし、売春してみる?」

「いえ。地道にモンスター狩りを頑張りたいと思います」

「社長、無責任なこと言わないでください」

「でもこのゲームかなりリアルだし売春できそうじゃん」

「倫理的にアウトです。会社のイメージに悪いからやめてください」

「はーい」

「ノエルもいいな。やるなよ、いいな絶対だぞ」

「フリですか」

「全然違う」

「わかてますよー。ちぇ~」

 ソラは大人でわきまえているが、ノエルの方は人間じゃないし生まれたばかりで倫理観が心配だ。

 昨日のお酒の件もあるしよく見張っておこう。と思うクーガだった。



「さて、モンスター狩りに来たわけだけど、ここで注意しなければならないことがある」

「はい、何でしょうか」

 戦闘に入る前にソラからノエルに激励が送られる。

「致命傷をもらうと死ぬほど痛いです」

「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います」

「今更遅い。あとこのゲームではステ振りに防御力はない」

「はぁあ?言われてみれば!」

 激励?でいいのだろうか。なんだか不安を煽る様なことを言っているような気がする。

 後なんでそんな初歩的なことを知らないミーゴ製。


「さて、どっかの誰かさんがお金を無駄遣いしたので装備を買うお金がありません」

「それもこれもクーガ先輩がお金を貸してくれないから」

「人のせいにすんな」

「まぁ、そこは自業自得とあきらめなさい」

「あの、初期装備だと防御力が低いので攻撃を食らうとすっごく痛そうですが?」

「だから自業自得とあきらめなさい。てか、それをおもんばかって攻撃されても痛くない相手を選んだんでしょうが」

「スライムの攻撃って痛くないんですか?」

「人によっては癖になる気持ちよさらしいわよ」

「売春と変わらない。てかその人ってMですよね」

「さぁ、私はSだから分からないわ」


 そんなこんな言っているうちにスライムの狩場にやって来た。

 町から少し離れた水場。

 そこに半透明の青いスライムがたむろしている。


「いい、よく見なさい。FCOではただ攻撃を当てるよりも、当てた場所によってダメージが変わるわ」

「もう完全に素人扱いですね」

「自分のせいだろ」

 クーガがあきれ気味にノエルにツッコム。

「ノエル、貴方なら攻撃を避けて反撃できるはずよ。自分を信じなさい」

「さっき自分を信じてカジノでスッタのですけどね」

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