第12話
「ざっと皆さんの役割についてですが」
ノエルがそう質問すれば、
「まぁ、ソラちゃんとクーガ君のペアを中心に考えていくわね」
そうミーアが声を上げる。
「おい、僕はそんなの――――
「ソレ確定事項だし」
「先輩と一緒に行けないのは残念ですが、それが妥当かと」
「ワシはソロで行かせてもらう」
「あとは私とあっくんとミーア、おまけで飛鳥を入れたパーティー」
「おい、僕がおまけだと」
「あと時々ガッツを入れるかな」
飛鳥の意見は基本無視されながら最後にQべぇが答えた。
「それではノエルは何処に入れば」
そうつぶやくノエルにミーアが、
「まぁ、基本的には私たちのパーティーね」
「もしくは空気を読まずに先輩たちのパーティに入るか」
「それはダメよ。それくらいならトウゴウ地獄巡りツアーに放り込んだ方がいいわ」
「Qべぇ、まだ茂さんに付いて行ったの後悔してるんだ」
「だって、死んでは突撃、死んでは突撃の繰り返しよ」
と、クーガとソラ、あっくんとQべぇで未踏破区に行って大型のレイド級のドラゴンと戦った時の恐怖を思い出して震えるQべぇ。
FCOはモンスターデザインも凝っていて大型の10メートル級でもVRで見れば狩猟ゲームの大型モンスターの迫力とは段違いなのである。
即死できればいいが、なまじ生きたまま丸呑みされる恐怖は痛覚まであるから怖いのなんのって、未踏破区でPTSD、つまりトラウマを患ったものもいるほどだ。
「まぁ、生産職に興味があれば私と一緒でもいいんじゃないかな」
生産職はアイテムの加工などと店舗の経営でも経験値を得られるので高レベルの生産職もいる。だからやりたがるプレイヤーも少なくはない。
と、皆から意見が出る。
「とりあえず、誰と行動を共にするかだな」
ノエルにそう意見するソラに、ノエルが出した答えは―――――
■■■
「結局、空気を読まずに俺達に付いてくるか」
とクーガがため息をつく。
「いえ、これは調査です。一通り皆さんの行動に同行してノエルに合ったメンバーと行動しようと思いまして」
「うむ、それはいい心がけだ」
ソラが当然の肩の上で腕を組んで肯定している。
「それですと今日の予定はキャンセルですかね」
「なんですか~。2人っきりでしけ込もうとでもしてたんですか~」
「アンドロイドのくせに下世話なヤツだな」
「ノエルは「ミーゴ」の作った高性能AIを積んでますからね。情緒があるんですよ。これでも人間よりかは頭いいですよ」
胸を張ってのたまうところか頭悪そうだし。どこか飛鳥臭がする。
とこれが飛鳥に聞かれたら「臭ってなんだよ。それじゃあ僕が臭いみたいじゃないかい」と怒り出しそうではあるが。
「それで今日の予定は何だったんですか。」
「メインシナリオを進めようかと。」
「いいじゃないですか、それで行きましょう。」
「お前、メインシナリオ何処まで進んでる?」
「……。」
クーガに聞かれて、ノエルはコマンドウインドウを開いた。
「……最初からです。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます