第4話
「それでぇどんなふうに告白したの」
「それは勢いに任せて」
「はぁ、シチュエーションとか演出しなかったの」
「無理だ無理だとヘタレていたところで、あっここしかない。って天啓で行きました」
「甲斐性無し。って言ってやりたいけど結果が良ければいいか」
「そうご容赦していただけるとありがたい」
そんな風に薫は静香に詰め寄られていた。
その横で、
「ねぇ、蒼ちゃん。これって公表していいやつですか」
「ん~~~~?」
薫の膝に座ってビールを飲む蒼に問いかけるものが居た。
星野ありか。
フラワーガーデンの広報担当の部長だ。
彼女は高校中退ではあるが、それは前に所属していた芸能事務所ともめたからである。
高校も芸能事務所もやめてネットアイドルに転向した彼女を拾ったのが社長だ。
ショートボブで小顔、ちょっとつり目気味のネコのような彼女はFCOのゲーム攻略配信アイドルとして有名だ。
高校中退の未成年でありながら部長職の彼女はフラワーガーデンの最年少でもある。
しかし、意外としたたかな面もあり、可愛がられるよりは頼りになる存在でもあった。
「一応年明けにしておいてくれないかな」
そう言う蒼に、
「やっぱり年末年始はイチャイチャラブラブしたいですか」
そう問いかける。
「ソレはもちろんそれもあるけどね」
フラワーガーデンの美人社長。もとい美少女社長ともなれば会社の看板にもなる。
その影響を考えているのだが。
「公表はするんですよね」
「本人は気づいてないけど彼も人気だからね」
「それな」
「まぁ、年末は別のニュースで盛り上がるだろうからそれにこっそり忍ばせるるようにしていこうじゃないか」
「重大なニュース?」
「ソレも話さないとな」
「は~い、みんな注目」
蒼は薫の膝から肩の上に移動してからみんなに語り掛けた。
薫としてはお酒も入っているのでそんなところに昇らないでほしいところだが、蒼はここが定位置だとばかりによじ登る。
薫は蒼が落ちないように支えるのだが、蒼はそんな薫の額をぺちぺちと叩いてくる。
それに皆はニヤニヤするのだが、続いた言葉に皆真顔になる。
「今朝、ミーゴからプレゼントが届いた。ノエル出ておいで」
そう言うと、広間に置かれていたボストンバックがもぞもぞとひとりでに動き出した。
ファスナーが開いて、中から昆虫の羽化のようにメイド服を着た少女が現れた。
「江頭アタック!」
「「「「…………………………………………………………………………」」」」
「皆さんからリアクションありません。これが俗にゆうスベッタというやつですか」
「だからやめとけと言ったのに」
バックから現れたセミロングの銀髪に赤いハイビスカスのような髪飾りを付けたメイドがため息をつき、蒼が肩をポンと叩いて慰める。
「皆さん、今のネタは忘れてください。ワタクシは忘れました。ハイ。それでは改めまして自己紹介します。ワタクシはミーゴ製地球人型アンドロイドPN-01のノエルと言います。」
「私と薫君でクリアしたクリスマスイベントの報酬だそうだ。これからは私の秘書役にもなってもらうつもりなのでみんな宜しくしてやってくれ。あと、FCOにもプレイヤーとして参加してもらう予定だ」
「「「…………………………………………」」」
「美少女アンドロイドだとおおおおおおおおおおおおおおお!」
また飛鳥が叫んだ。
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