第4話
魔女の弟子は5人。
名前はボッタ、ボッチ、ボッツ、ボッテ、ボットと言うらしい。
サンタさんから託されたプレゼントをこの5人渡すことがギミックの鍵になる。
そう結論付けたクーガとソラは、明らかにボスのいそうなお城の中央を避けて、広い城内を歩き回ることになった。
「ボットから教えてもらえたのはボッツの居場所だけだったな」
ソラがクーガの肩の上の定位置でつぶやく。
「こういうのはやっぱり順番に回っていく物なんですかね」
クーガがソラにそう返すのは、今までやってきたゲームのお約束を思い出してだ。
クーガの好みのRPGはテイルズや聖剣のようなアクション性のあるモノだ。
対してソラはメガテン系などダークな世界観を好んでいたらしい。
好みが違うなりになぜか気が合う2人はFCOのリリース初日のプレイでクエストがかぶった。
そのクエストは初見のソロ殺しと後で言われるようになるクエストだったのだが、即席で組んだパーティーでクリアしたことで仲良くなったのだ。
好みは違えど話は合う。
互いに互いの好きなものを教え合い楽しませることが好印象を互いに与えたのだ。
さて、そんな2人だからこそプレイスタイルには違いがある。
ソラはシステムを理解して、戦術、戦略をしっかりと立てて戦う頭脳系のプレイヤーである。
対して、クーガは直感と繰り返しによるアクションの覚え込みで戦う脳筋タイプのプレイヤーである。
そんな2人が足並みをそろえられていることがなかなかできることでは無くて、2人のようなパーティーは珍しい。
この2人なら他のプレイヤーにとって困難な場所も意外とすいすい進めるものだ。
「こっちの本とこっちの本を入れ替えて」
言われた通りに本を移動させるクーガ。
すると、ガーーーと音を立てて本棚が動いて新しい道が生まれる。
「やっぱりこういう頭使うダンジョンはソラ社長にお任せ、ですね」
2人がいるのはお城の地下にある図書館の迷宮だった。
「それで社長」
「なんだね」
「ボッツの居場所に心当たりはありますか」
と、ソラに訊ねるクーガ。
と言うのも、この迷宮のどこにボッツがいるか分かっていないからだ。
ヒントはボットの言っていた「ボッツは最近ドラゴンを調べているみたいです。」という一言だけだからだ。
「まぁ、思い当たる事は有るかな」
「ドラゴンについて調べているならやっぱり生物図鑑のある区画じゃないんですか」
「ははは、クーガくん。それはたぶんミスリードだよ」
「ミスリードってなんですか」
「おっとと、そこからか。ミスリードと言うのはひっかけってやつだよ。推理小説なんかで使われる言葉だね」
「なるほど、つまりそっちに行くと罠がある可能性があるんですね」
「私の勘ではね。おっと、そんなことを行っていたら今度はクーガくんの出番じゃないか」
そう言うソラの前には大きな穴と、その上を移動する空飛ぶ足場だった。
「乗る順番はワタシが指示する。タイミングなんかは任せるぞ。」
「ガッテン、承知の助」
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