第2章 勝負には勢いが肝心!
第1話
ヒュッン!
ビシッ!
ヒュッン!
ビシッ!
と、鞭が空を切り肉を打つ音が響く。
そのたびに色鮮やかなエフィクトが輝いてクーガの体に吸い込まれていく。
ひゅっん!
ずぅん!
太い蔓が空を切り地面を打つ音が響く。
土塊をまき散らすその攻撃を、しかしクーガは喰らわない。
素早く避ける。
その巨体に似合わない俊敏な動きが余裕をもって、しかし無駄な動きをせずに繰り返される。
土ぼこりをかき分けてクーガは前進する。
その肩にはソラが座って鞭をふるう。
時にクーガを打ち。
また時には真横でのたうつ太い蔓を打ち据える。
「蔓を攻撃してもダメージは通らないようだ」
ソラは回避に専念してるクーガに代わり、敵の観察を担当する。
その鞭からはクーガの肉を打つたびにバフをかける。
【クイックアップ】を優先的に重ねがけする。
ソラは機動と防御をクーガに任せて観察を担当できるこのスタイルを基本として、パーティーの指揮官を担当する。
今回は2人きりなので完全に後方役には徹しないが。
「【遅滞の傷】」
ただのダメージ用じゃない、受けた相手の動きを遅くさせる攻撃を蔓に浴びせる。
「よし、デバフは蔓でも入る。今のうちに懐に入り込め」
「応」
ソラの指示に従いクーガが前進する。
ボコッ。
と、その進行方向で土が盛り上がる。
とっさにクーガはサイドステップをした。
そのすぐあと、クーガが走り抜けようとした地面から細い蔦が飛び出す。
もし喰らっていたら動きを止められていただろう。
「【ウインドシールド】」
クーガの前方で紫色の液体が弾き飛ばされる。
「大ぶりの攻撃と細かい蔦での移動阻害、からの毒攻撃か。遅滞戦術がメインみたいだな」
「ならばこちらは」
「ガンガン行こうぜ」
ソラの掛け声に乗って駆けだすクーガ。
バフの重ねがけにより、あっという間にキラーミントの懐に入り込む。
「【ファイアエンチャント】」
「【重撃斬】。」
幾重にもかけられたソラのバフとパワーファイターのクーガによって繰り出される高火力スキル、これにより一撃でキラーミントのHPを2割削る。
「もう一丁、【燕返し】」
クーガの直前の攻撃を繰り返すスキル【燕返し】によりさらに二割のHPを削る。
「硬さはそんなにないみたいですね」
移動しながら通常攻撃を繰り返す。
「もう少しで半分切る。パターンが変わるかもしれないから油断しない」
「もちろん。よっせい、これで半分」
とそこでキラーミントが伸ばしていた太い蔓を引き戻して持ち上げた。
「――――――――――――――――!」
どこにそんな器官があるのか分からないがキラーミントが叫び声をあげる。
そして太い蔓を自身に巻き付けていく。
「【ディバック】」
「【スタンドガード】」
キラーミントは自身に巻き付けた蔓を勢いよく回転させながら伸ばしてくる。
まるで回転ブランコのように。
ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!ドカ!
回転する蔓は何度もクーガとソラの体にぶつかって来る。
2人はその攻撃に正面から耐えた。
ソラのHPは無傷。
【肉の壁】でソラのダメージを肩代わりするクーガのHPはガリガリ削られる。
本来はこの攻撃にはノックバック効果がある。
が、それはソラの【ディバック】で無効化されている。
そして、クーガが攻撃に耐えている間にソラは鞭を振り回してクーガにバフをかけまくる。
キラーミントの攻撃が終わった時、クーガのHPは半分に減っていた。
しかし、その体はキラーミントの目の前にしっかりと立っている。
「行くぞ。【守護者の反撃】」
クーガから放たれた一撃はキラーミントの残りHPを吹き飛ばした。
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