第7話
クリスマスイブの夜に社長とデートすることができたクーガ。
その出だしは順調だった。
最初に発見したダンジョンの周辺のモンスターのレベルならばクーガとソラの2人で苦戦することはないと踏んでいたのである。
クーガとソラの2人は30体ほどのスケルトンからタコ殴りにされていた。
初見のダンジョンだというのに浮かれていた2人はいきなりモンスターハウスに突っ込んでしまった。
現れたのは30体はいるスケルトンの群れ。
クリスマス仕様なのかみんなサンタ帽をかぶって一心不乱に手にした何かの大きな骨で2人に殴りかかって来る。
ターゲティングサイトに表示されているモンスター名も「聖夜を妬む骸骨戦士」になっている。
「これ絶体に運営喧嘩売ってるよなぁ!」
盾を構えて防御を固めるクーガが堪らずに叫ぶ。
「むしろ戦争だって言ってるじゃん」
クーガの肩の上で鞭を振り回すソラが必死にこらえながら返す。
ソラの振り回す鞭は狙いが適当でクーガの体のいたるところを打ち据えて良い音色を響かせていた。
スケルトンの攻撃がクーガの肩に乗っているソラに直撃した。
「クーガ、アレはいいものだ」
「あの宝箱か?」
「うむ。私の勘がそう囁く。いただくぞ」
「O,K」
確かにソラに直撃したはずの攻撃は、しかしソラには1すらダメージを与えることはできなかった。
クーガのもつ【肉の壁】と言うスキルの効果によるものだ。
【肉の壁】は範囲内の仲間1人のダメージを肩代わりして、かつ20パーセントのダメージカットがあるスキルである。
つまり、クーガは今自分の受けている攻撃とソラの受けた攻撃、その両方のダメージを受けているのである。
しかし、耐久性に優れた「剣従士」のクーガはそのすべてに耐えきって見せる。
そしてクーガの持つ自動ヒットポイント回復スキルと、ソラが鞭で打つたびにかけられる各種バフのひとつである自動ヒットポイント回復状態、加えてソラのヒットポイント譲渡により、最大ヒットピントの2割以上ヒットポイントは今のところ減っていない。
ソラも自動ヒットポイント回復によりヒットポイントが無くなるようなことは今のところない。
つまりこのままいくら殴られても2人が倒されることはないということだ。
だが、2人も攻撃しなければここから移動することはできないのである。
だからソラはクーガに何度も鞭をふるう。
そしてクーガは少しでも攻撃がソラに当たるようにする。
ソラの鞭に打ちにはバフをかける効果があり特に【ご褒美チャージ】というスキルの重ねがけをしていた。
そしてそれまで攻撃に耐えるばかりだったクーガが攻撃に回った。
「【守護者の反撃】!」
クーガが使った攻撃スキルは【肉の壁】の発動回数により威力と攻撃範囲がアップするスキルである。
これにソラの【ご褒美チャージ】で「剣従士」のスキル効果がアップする、しかも重ねがけで最大10回分が重複する。
2人の合わせ技は最大限に効果を発揮して30体の「聖夜を妬む骸骨戦士」を一撃のもとに粉砕しつくした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます