第2話
とはいえ必要性や実績がまだ確定していない状態ならば予算のほどは推して知るべし。
日本には3つあるゲーム攻略会社は何処もかつかつなのが現状である。
すぐには出ない結果を求められる現場の過酷さとは、久我峰のデスクの上に並んだ栄養ドリンクの空き瓶の数が物語っている。
「毎日~毎日~ボク等は残業で~、仕事~させられて~いやになっちゃうよ~」
「ならば転職するかい?」
「うわぁああああ!」
今は自分以外誰もいないはずのオフィスでいきなり声を掛けられたことに驚いた久我峰は危うく転ぶところだった。
「社長、何でここに?」
「どっかの誰かさんが一人で残業しようとしているからかな」
「すみません。俺効率悪いんで」
久我峰は背後から話しかけてきた声の主に向き直った。
「ホント、いつも付き合わせてしま…………って、何でサンタコス?」
「今日はクリスマスイブだからねぇ。薫くんへのプレゼント。どう?嬉しくなぁい」
「めっちゃ嬉しいです」
久我峰は背が高く肩幅も広いが、くたびれた印象がぬぐえない無精ひげを生やした中年男性である。
そしてクリスマスイブに一人で残業してゲームをしていることからわかるように彼女はいない。
そんな寂しい男にとっては美人社長からのサンタコスのプレゼントが嬉しくないはずがない。
いや、
言い直そう。
美少女社長のサンタコスがご褒美でないわけがない。
「ホレホレ、ミニスカからの太ももチラリだよ」
「ヒャッホウ、
「絶対領域とかそろそろ死語じゃないwww」
笑いながら久我峰の前でミニスカのすそを摘まんでヒラヒラさせているのが「株式会社 FCO攻略社フラワーガーデン」の美少女社長の
彼女の名前はフルネームで
ゆえに彼女は皆に「そら」と自分を呼ばせている。
「クルッとターン―――からの、投げキッスのウィンク」
「よっしゃぁっぁぁぁ!やる気でて来たぁぁぁぁぁ!」
「それじゃぁ残業行ってみよう。続きはノルマをこなしてからッネ」
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