14話
一緒に歩きながら朝霧君の方を見る。彼もこの状況に不安を感じているみたいで、その
「もしかして、朝霧君って
元々、彼がこの
「いや、別にそういうわけじゃない」
やんわりと
そう思っていると、今度は
「五木こそ
「大丈夫って、何が?」
「さっきから緊張してるみたいだから、平気かと思って」
朝霧君と会って少しは落ち着いた気でいたけれど、まだそんなに
「別に平気」
そうは言ったけど、それがただの強がりだという自覚はある。本当は、不安で仕方ない。
もしもいなくなった人達が妖にさらわれたのだとしたら、今 《いま》
ない!
確かにポケットの中に入れておいたはずのお守り。なのにそこには何もなかった。
祠の前で、びっくり箱に
「どうかしたか?」
私の様子がおかしいことに気づいたのだろう。朝霧君が心配そうに声をかけてくる。
「ちょっと、落とし物したみたい」
「落とし物?」
「実はね……」
お守りを持ってきたこと。そして、それがいつの間にかなくなっていたことを話す。だけど人がいなくなっている今、そんなもの一つで
だけど、それを聞いた朝霧君が言った。
「大事なものなのか?」
「それは……」
面と向かって聞かれると、言葉に
大したものじゃない。本当はそう言おうとしたけれど、それを言葉にすることはできなかった。だってそれは、本心とは違うから。
だって、あのお守りは私にとって大事なものだった。特別なご
それともう一つ。お守りと一緒に、
それは、とある妖の記憶。今まで妖のせいでひどい目にあったのは一度や二度じゃない。けどそれは、なかでも最悪でひどいものだった。
とたんに不安が
「ごめん、朝霧君。一人で先に行ってて」
「もしかして、戻ってお守りを探す気か?
確かにそれもある。だけどそれ以上に、再びあの妖達たちと会って、何が起きているのかを
もちろん、それは危険なことだ。自ら進んで妖に会いにいくなんて、
「悪いけど、みんなのところに戻ったら、朝霧君が事情を話しておいて」
「さっきも言ったけど、一人じゃ危ない。俺も一緒に行こうか?」
「大丈夫。それよりみんなに知らせてきて」
そう言ってくれるのは
「じゃあ、よろしくね」
「おい、待てよ!」
朝霧君には悪いけど、私は返事も聞かずに、一人で元来た道を
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