11話
ペアになった人達が、間をおいて次々に山道へと入っていく。何組目かが入っていくと同時に、別の道からカードを手にした最初の組が戻ってきた。出発地点とゴール地点は別になっているから、他の組とは
もう少ししたら、私達の番になる。何ごともなく終わりますように。そう祈りながら、ポケットに入れたお守りを握っていると、急に何人かが集まって、話し始めるのが見えた。
「どうかしたの?」
「それが、先に行った組がなかなか戻ってこないんだ」
それを聞いて、戻ってきた人を数えてみる。話を聞くまで気づかなかったけど、今くらいの時間だと、もう少し戻ってきていてもおかしくない。
「もしかして、道に迷ったとか?」
「迷うようなところじゃないでしょ」
あれこれ話しているけど、それでもそこまで心配しているようには見えなかった。
「たまたま
「そうかもな」
一人が楽観的な意見を言い、他の人もそれに同意する。
でも、本当にそうなのかな。普段、妖や
まあ、まだ何かあったって決まったわけじゃないし、本当にただ遅れているだけかもしれない。何もわからない以上は、私も極力周りに合わせることにする。
それからまた少し時間がたったところで、いよいよ私達の番になった。
「おーい、
「う、うん」
「けっこう暗いな」
ライトで道を照らしながら歩いていると、
テレビで
なら何をこんなにも怖がっているのか。それは本物が出るかもしれないことだ。
元々肝試しに使われるような場所というのは、何かしらの悪い
今回肝試しの
なんでも、昔この辺りには悪さをする妖がいて、それに
だけど時代が進み近くに大きな道路ができた今となっては、この道を通る人も、その奥にある土地神の祠を
今やその祠は手入れをする人もいなくなり、人から忘れられた土地神が
その話が本当なら、今夜は
もっとも、一口に土地神と言っても、モノによってはその存在は実は妖と
ここの土地神も昔はともかく、話を聞く限 かぎりでは今は信仰している人もいないようだし、どうなっているかわからない。何にしろ、たとえ見かけたとしても、決して自分から関わらない方がいいだろう。
「 ――五木? おーい、五木!」
「えっ、何?」
考えごとに
「なんだ、聞いてなかったのかよ。せっかく礼を言おうと思ってたのによ」
「お礼って、なんの?」
「
「それなら、前にも言われたじゃない」
相良君から
「そりゃそうだけどよ、少し心配だったんだよ。うっかりしゃべったりとか、あるかもしれねーだろ」
「ちょっと、それって私の口が軽いって思ってたってこと?」
「いや、そういうわけじゃねーけどよ。下手すりゃ晴が悪く言われかねないし、気になってたんだよ。悪かったって」
頭を下げる相良君をジトッと
「話さないから安心しなさいって」
「朝霧君と相良君って、前から仲良いの?」
「ああ。中学の
それは、物静かで周りと
「でもそれじゃ、どうして今みたいに仲良くなったの?」
「ああ。晴の母ちゃんが入院してるのって知ってるよな。それって、中学の頃から何度かあったんだ。で、
「朝霧君のお母さんって、そんなに前から具合が悪いんだ」
二人が仲良くなったきっかけはわかったけど、それと同じくらい、朝霧君のお母さんのことが気になった。お父さんもいないって言ってたし、もしかしてけっこう苦労してるのかな? けどあれこれ
「あいつの母ちゃんのこと、気にするなとは言わねーけど、あんまり
当時のことを思いだしたのか、
「それって、小さい頃は
「知ってたのか。まあ、そんなところだ」
それは、前に昼休みにクラスのみんなと朝霧君について話した時に出てきた噂だ。出どころもよくわからないあやふやなものだったけど、やっぱり相良君も知っているのか。
「言っとくけど、あいつはそんな悪いやつじゃねーぞ。むしろ、毎日母ちゃんの
これまでにないくらい、
「
「そっか、そうだよな」
ホッとしたように、相良君の
本当は、来たくなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます