第二章 肝試しの怪
10話
「おはよう朝霧君。昨日はありがとね」
「昨日も言ったでしょ。平気だって」
「ケガ、大丈夫だったか?」
そう言って、回復していることをアピールしてみせると、急に横から声がした。
「よう晴。って、五木?」
声をかけてきたのは相良君。朝霧君も返事をすると、その後相良君に向かって頭を下げた。
「五木から、口止めを頼んでくれたって聞いた。
「まあ、アイディア出したのは
相良君はバツの悪そうな顔をしながら、
「
「帰り? ああ、晴が病院に行く途中か?」
朝霧君のお母さんが入院してるというのは、どうやら相良君も知っているみたいだ。
そうしていると、急に教室の前からクラス全体に向けて声が飛んだ。
「みんな、今度の土曜のことでちょっといい?」
見ると、黒板の前にクラスメイトの一人が立っていた。少し前から、次の土曜日にクラス全 員で集まって何かしようという案があって、
「今度の土曜、みんなで
元気のいい声が
私だって、
「俺はやめておく」
この
「なんだよ朝霧。付き合い悪いぞ」
言ったそばから
だけど私が口を
「何か予定でもあるのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど……」
「なら行ってもいいじゃねえか」
まずい。ここで朝霧君が折れたら、ますます私も行きたくないとは言えなくなってしまう。
「行きたくないなら無理に
やんわりと朝霧君に味方をするけど、残念ながらクラスの
「なるべく全員参加って言ったろ」
「肝試しって言ったって、別に本気でやるわけじゃないし、行こうぜ」
私の
「じゃあ……参加する」
ダメだったか。朝霧君も参加することが決まり、ますます嫌だとは言えない空気になってしまった。朝霧君がもっと我を
辺りがすっかり暗くなった頃、学校からほど近い場所にある小さな山の入口では、
予定されていた、肝試しの日だ。雨が
かくいう私もお菓子は持ってきた。そしてそれ以外にも、ライトやお守りだって持参している。お守りは普段は学校の通学鞄につけているものだ。といっても残念ながら今まであまりご
「ずいぶん気合入ってるね」
お守りを握りしめる私を見て、隣にいる
私は
「だいたい、何で肝試しなのよ」
「今さらそれ聞く?
それでか。そのアニメなら私も知っている。少女
一息ついて辺りを見回すと、遠くにいた朝霧君の姿が目に入る。朝霧君も、私と同じく、制服で来たらしかった。参加を
「よーし、みんなそろってるな」
イベントの発案者が出てきて全員がそろったのを
今回行う肝試しの
山道といっても急な坂道じゃない。きちんとした
ペアになる組み合わせと出発する順番、
肝試しでペアというと、男女の組み合わせで行うカップルイベントのようなものも多いけれど、あいにくこのクラスは女子の数が男子の三倍近くいるから必ずしも男女の組み合わせになるとは限らない。
私の相手は誰だろう。くじを引き、係の子が番号を読み上げながらペアとなる人を探し始めると、すぐに返事が聞こえてきた。
「相良君 ――」
「よう。五木か」
相良
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