7話
「アイツからも嘘の匂いがする。それも、特別大きな嘘だ」
何とか逃れようと必死になっていた私は、
「うわっ!」
たまたまうまい場所に当たったのか、毛玉が声を上げたかと思うと、体に巻き付いていた毛が力なくほどける。
「ちっ、せっかくうまそうな
予想外の
「た……助かった」
ホッとしたとたん、急に体の力が
「おーい、何があった? もしかして、ケガしてるのか!?」
声の主は心配そうにそう言うと、ゆっくり坂を
それは、同じ学校の男子の
「朝霧君……」
そこにいたのは、放課後学校で会ったばかりの朝霧
「五木か?」
だけど、朝霧君はそれ以上何も言わない。あんなことがあって間もなくの
そのまま少しの間
きっと、朝霧君もそうなんだろう。しばらく
「顔、
言われてハッとする。鏡がないから
そんな姿を見られたことが
「いや、でも……」
両手で顔を
「きゃっ!」
地面が
「えっと、その……」
「立てるか?」
体を支えられてるっていうことは、それだけ距離が近いっていうことだ。男子相手に、ほと んど
「ありがとう。もう一人でも立てるから、手を離して大丈夫だよ。それと、さっきのタオル、借りてもいい?」
「ああ――」
最後に少し
「ところで、こんなところでいったい何があったんだ?」
まあ、やっぱり気になるよね。
だけどどうしよう。妖に襲われていたなんて言っても、信じてもらえないどころか、
「……犬がいたのよ」
「犬?」
「そう、大きな野犬。
「野犬って、今時か?」
いくらここが
「いたんだから、しょうがないじゃない」
「うーん。野犬か……」
朝霧君は完全には
よかった。そう思うのと同時に、心の中でモヤモヤとした気持ちが広がっていく。思えば小さい頃から、妖絡みで
『お前、
不意に、さっき毛玉が言っていたセリフが
そういえば、毛玉は朝霧君を見た時も、嘘つきだと言っていた。それも、特別大きな嘘だと。
朝霧君と嘘。その二つを考えると、どうしても、さっきの学校での出来事を思いだしてしまう。告白をされた朝霧君が、他に好きな人がいると、嘘をついて断ったという話を。
そんなことを考えながら、二人して元いた道まで戻った時だった。再び、朝霧君が口を開いてたずねてきた。
「なあ
「えっ?」
「その……さっき学校で、
朝霧君の
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