第4話 求婚は突然に

緑豊かなダーウィネット属王国。

建国は五百年ほどであるが、周辺国は強大にしてさらに歴史のある国々に囲まれている、大王国ダーウィンの次に大きな内陸部の国。

もともとはダーウィン王国の領地だったのだが、好色王ジェイス・ラ・ドルド・ダーウィンが、十数人いたという愛妾妃に産ませた王子たちに領地を分け与えたことで出来上がったものだ。

もちろん正妃にも王子はおり、それが現在の大王国ダーウィンの王家として続いているが、細切れにされて二十を超えてしまった公領は小競り合いを続けて統廃合し、今は「ダーウィン」の名前をもじった八つの属王国となって(一応)仲良く支配し合っている。


ロメリア・フェディアンはそんなダーウィネット属王国でフェディアン伯爵家の四女として生を受けた。

天真爛漫で自由闊達、聖女の『せ』の字も片鱗も見せずに大きくなったが、五歳の誕生日に『ダーウィネット王国次代聖女』として王宮に隣接した神殿へ初見えした際に、突然上段から宣言されたのである。

「おまえ!きんぱつがきにいった!ぼくのおよめさんになれ」

「え。いやです」

ロメリアと同じ金髪の幼児は、間髪入れない即答に愕然と目を見開いた。

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