第19話:リム「何があってもお前の味方」
リムが、そんなことを思っていると、
「リムお兄ちゃん、何だかんだ言って、ビキニ姿の私に見とれてるんじゃないの?」と、プリシラは、クールなリムに負けじとクスクスと笑った。
「違うよ。こっちの子が可愛いなと思って」
リムはスマホの液晶画面を指でトントンと適当に叩いた。
「なーんだ。これは、カンニングさせてくれた頭の良いメアリーよ。リムお兄ちゃんのガールフレンドも頭が良くて、こんな感じでスタイルもいいの?」
「そ、そうだよ。俺は外見も内面も良くて頭も良くないと嫌なんだ。一緒にいてイライラしたくないし。お前といるようにね」
リムは内心焦って、どうしてもプリシラに素直になれず、意地悪く言った。
「酷いわー、あんなに優しく遊んでくれたのに」
「昔はみんな小さかったし、お前は特に、おバカだったから放って置けなかったんだよ」
「確かにね」
プリシラは素直にリムの言葉に頷く。
「それで、私がバカだから、マイムお姉ちゃんが死んだって言う噂があるけど本当?」
「え?いや、噂?」リムは、今度は昔の重い質問に焦った。
「焦るなんて怪しいわ?」
「いや、違う!何で急にその話になる?それで、そんな噂を誰が流すんだよ?この村は、変な噂がすぐに流れるんだから。そんなのデマカセだよ。お前のバカのせいで、姉さんは、さすがに死にやしないよ」
「そうよね。安心していいよね?」
プリシラは目が赤くなりかけた。
「あ、ああ。安心していいよ」
リムは、またプリシラが泣きかけたので、真剣な顔をして力強くプリシラに返事をした。
プリシラは分かったようだったが、まだ不安そうで、安心したように見えて、その目は潤んできた。
「トゥオルも違うよ!って言ってくれるけど、リムお兄ちゃんやロックお兄ちゃんやマイムお姉ちゃんの同級生達とかが、マイムお姉ちゃんの死はプリシラのせいだ!って言うの」プリシラはリムに話しながら、ぐすぐすと泣きだした。「それをママやパパに聞いても、機嫌わるくして真面目に話してくれないの」
プリシラは傍のリムが見えなくなるほどに出てきた涙を、手の甲で拭き、鼻をすすった。
リムも、その話すプリシラを、可哀想に思い、今までの意地悪してやりたいという思いや、威厳がなくなり、憐れむような真剣な表情を
「そうか、可哀想にな。俺はトゥオルと同じで、安心していいと思うよ。万一、その噂どおりだったとしても、あの時、お前はまだ4才になったばっかりだし罪はない」
プリシラは、うん……そうだけど……というような表情をした。リムは、両手を広げ、オーバーな仕草で
「俺やロック兄さんにも責任がある。それに、お前は記憶がないんだろ?」とプリシラの肩を全面的に持つように言った。リムや従兄のロックは責任感が強い。
「うん、全くないわ。リムお兄ちゃんは?」
「俺もびっくりして、急いでお前を連れて、
兄さん
「そうなの」
プリシラはそう言うリムを、すがるような表情で見上げ、リムもそんなプリシラの大きい丸い目をじっと見た。
「ああ、これは本当だから安心しろ。親は自分の子が大事だろうから、聞いたってあまり意味がないよ。大丈夫。お前は悪くないから」
リムは確信を持って言い切った。
「ありがとう、リムお兄ちゃん・・・・・・」
プリシラは、流れた涙を手指で拭った。
「泣くなよ」
リムは自然と、プリシラの少しうねったブラウンカラーの髪を軽く叩いてなで、前髪を分けて、額にそっとキスをした。
プリシラの髪は、シャワーしたてで、ミルク石鹸のような香りがリムの鼻先をほのかにかすった。プリシラに恋心はないが愛おしく感じた。
「何があっても、俺とロック兄さんだけは、お前の味方をするから」
「ありがとう」プリシラはリムを見上げて口角を少し上げた。
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