第14話:プリシラのテストと成長

 リムは、その点数を見て、目を見開き、

「こ、これだけ?」と、テストとプリシラを、同じく目を見開いて驚いて見て、怒るより体の力が抜けた。


プリシラは身を縮めて目を伏せて小さくうなずいた。

プリシラのテストの点数は、ギリギリ2桁だった。


「それに、この赤字の“メアリー・ジルグレーのテストをカンニングしたので80点減点”って何だ?」


「そのままよ・・・・・・。このテストの内容興味無いし、賢い友達の答えを見せてもらっちゃったのよ。そいで、端から減点喰らっちゃったのっ。そしたら合ってたのはこれだけで。うわーん、バカって言ってよ!」


プリシラは、リムがくれたハンカチに突っ伏して泣き真似だけしてみせた。リムは溜め息をついて呆れた。


「バカと言う気もしない。コレ、細胞分裂とかだろ?面白いじゃないか。俺は、シーラはちっとは賢くなってると思ったし、さっき、お前は、ケビィのこと、ずる賢いって言ったけど、お前の方がずる賢いじゃないか」


プリシラは図星だったが、リムが一度だけ自分の愛称を言ってくれたことが嬉しかった。


「何とでも言ってよ。私は興味無いし、追い詰められたんだもん」


「興味無いのに追い詰められたも何もないだろう」


「ま、まあ、そうだけど・・・・・・」

リムが言うことは図星ばかりだ。


「それでカンニングなんて、俺は教えたことないぞ」


「それは反省してるわ。他の子にばれて恥ずかしくって、先生からカミナリが落ちて、二度としないって思ったもの」


「そりゃそうだ。勉強ってのは興味持たなくっちゃ。興味ないなら教えても仕方ないな。数学や物理なんかも怪しいな」


「物理は何だか面白いわ。数学はクイズしてるみたいで何とか。

歴史は人がいっぱい出てきて中々覚えられないわ。それにあんま興味ないしね」面白くなさそうな顔をして、お手上げと言う風に、両手を体の横に挙げてみた。


「興味は持って欲しいけど、シーラはクイズとか好きだもんな。遊び感覚ですれば楽しく出来そうだな。じゃあ、このテストを面白くしてみるか。プリシラ、同じくらいの紙2枚ある?」


「あるけど、これを面白く?クイズみたいに?バレジアに帰るまでに?」


「ああ、こんなの簡単だ。シャワーでも浴びてくれば?」


「あたし臭い?」


「そうじゃなくて・・・・・・。俺がテストを作ってる間、他の科目を自習する気もないだろ?」


「ない・・・・・・」

プリシラは、小さい声で即答したが、リムは離れても自分のことをよく知っているなと感心した。そうして、プリシラはシャワーを浴びに行こうと、服や下着を準備した。


「リムお兄ちゃん、あたしの下着なんか盗まないよね?」

「こんな田舎もんのデカいケツの女のなんか盗まねえよ。ってか誰のも。ガールフレンドもいるのにバカか」


「デカいケツはないじゃない!バカだけど、バカじゃないよ!」

「なんだそりゃ」

「ふんだ、シャワー浴びて来るわ、お先に!」


プリシラはリムが好きなのにバカにされて、1年前に戻ったように腹を立て、ドアを音を立てて閉めて出て行った。


リムは、その衝撃に頭を両手で覆って

「なんだ、おてんばが成長して荒々しくなっちまったのか?でも、あのチビで泣き虫のシーラも成長するんだな。ブラなんか持って」と言うと、急にドキっとして、顔がフっと熱くなった。


「オ、俺、何、シーラにドキッとなんかしてんだよっ」

リムは、慌てて、プリシラが最低の点数を取った、理科のテストを楽しいクイズ風に変えるのに集中しようとした。






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