第7話:嬉しい知らせ

 リム一家がブレジアに来るという一報が、プリシラの母メルシェラに、リムの母ミリィから電話であった。電話を切ったメルシェラは1階の自室にいたプリシラをリビングから興奮して呼んだ。


「何よママ、お皿洗いもしたし、シャワーもしたし、やっと友達とメールしてたのに」


自分が似た、黒くて丸い瞳を大きくして、大きい声ではしゃぐ母を鬱陶しく感じ、思春期のプリシラはドアを少しだけ開けて、不機嫌そうに気だるく返事をした。


「ごめん!だけどシーラ、それどこじゃないのよ!リム達がこっちに遊びに来るって!」


「え!本当?いつ!?」


プリシラは、はっとして母の方へ行き、その母に似た目を大きく開いて急に機嫌が良くなり、立ち上がって手を叩き、跳びはねて喜んだ。


「本当よ!ママは嘘つかないわ!夏休みの連休だって。うちには1日目に来たいって」メルシェラも興奮して話す。


「わあ!あと1週間後じゃない!」

母と娘の顔は輝き合った。


「あたし、リムパパの美容院に行って、お洒落な服でも買わなきゃ!」


リムパパの美容院とは、リムの父リビィが、ブレジアの街中で店長をしていた、バレジアにあるカリスマ美容院zoneの分店である。


「ああ、こないだ25点だったテスト用紙隠さなきゃ!急に忙しくなるわっ」


「そんなのリムは気にしないわよ。そのままでいいわ」


「ママは女心を忘れたの?それと、あんなテストの点数じゃ、きっとリムがカミナリを落とすこと!バレジアへ行ってから電話もメールもあっちから全然してくれないし、あたしがしても全然出てくれないし、メールなんて無視スルーばかりなのよ」


「リムも高校生だもの、ガールフレンドの1人くらいいるからじゃない?」


「ママ、私の気持ち知ってて何てこと言うのよ!もう寝るわっ」

再び、プリシラは母の言葉に不機嫌になったが、その晩、布団に入ってから興奮して中々寝付けなかった。


「嬉しいけど、なんか会うの緊張してきたわっ」


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