第6話:リム中学校を卒業する

 リムは中学校を卒業し、美容師で子ども好きな父リビィと、女医で、従兄のロックの母と双子の姉である母ミリィの都合で、小学校低学年の弟ケビィと、バレジアへ引っ越して行った。


 その後、プリシラはしばらく、食欲もなく、夜昼ともなく、リムと、その一家を思い出したり、隣の家がいつも暗くて静かなのを思うと、1人になった時や、いつもリムに教えてもらっていた勉強をする時に、さめざめと泣いて過ごした。


朝起きても何の楽しみもないように思えて虚しかった。リムとは違って、ちょっかいを出してくるチビのケビィさえいない。


――――そのうち、プリシラは中学2年生になった。両親にバレジアのリムの家や、ロックの家に行かせて欲しいと言っても、うちはお金が無いから駄目、などと言われて、バレジアへ行かせてもらえなかった。

または、ロックやリム達がブレジアに来るのを待ちなさいと言われるばかりだった。 


 そのうち、高校生のロックやリムからメールや返信が来るのも稀になった。5才年上のロック達一家は、全然ブレジアに来なくて、ロックの父の父、つまり、ロックの祖父が亡くなった時だけ来た。しかし、ロックは祖父を敬愛していたので泣き崩れていたし、その祖父に憧れて美容専門学校(以下、美専)に通う彼は都会の垢抜けた学生になり、随分と大人っぽくなっていて、小さい頃のように、遊ぶ、という感じではなかった。


 しかし、ある日――――

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