領域
ひどい目眩
動脈が過剰に波をうつ。
目を閉じると瞼の裏に
あかい流星が降り注ぐ。
体調が悪いわけではない。
非日常的な不快感に近くのベンチに座り込む
目の裏に広がる光景。
あかい流星はやがて一つの場所に集まり、
朱塗りの門を作り出す。
朱い鳥居が列を成して、
不規則に道を作り出していく。
どこかで見た事のある?
京都の…。
そう伏見稲荷大社のようだ。
過去に訪れた事があるが、
思い出したくない、
思い出してはならない、
深月の深層心理の闇が
立ち塞がる。
やがて最後の門の先に月の光が差し込む。
そこに向かい歩き出す。
いったいどうしたら良いの?
朱い糸は
宿命の糸
月の光の下から翁の声が聞こえてきた。
あなたはいったい誰なの?
月を読む者。
月の光の流れのままに、
人々のあかい糸を紡ぎ、
ほつれた糸を見届ける。
宿命って何?
運命と違うの?
赤い糸は運命の糸
朱い糸は宿命の糸
お前にはその糸を見届ける義務がある。
それが宿命。
見届けるってなに?
糸を辿れば見えてくる。
相手が何を思い
何を欲して
何を求めているのか。
そんな事言われても私にはまだ何も見えない。
そうまだ何も見えない。
だがもう見えてくるはず。
何故ならお前はすでに、
領域に入っているのだから。
領域って?
その言葉を発した途端、
朱い糸が
自分以外の人間に繋がるのを感じた。
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