第60話 Time goes by


「10日は晴れるみたいよ!」


「良かった。天気だけは自分達ではどうにもならないからね。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


人生とはいつも平坦な道ではない。

ありきたりな表現ではあるが、

山も有れば谷もある。

けれども今いる場所が自分にとって

山なのか?

谷なのか?

それは自分が感じ方次第だ。

どちらにしても

一人で山を登り切るには大変だし、

一人で谷を越えるのは決して楽ではない。

だから人はそれらを乗り越える為に、

共に歩める人を求めるのだと思う。


夫婦とはそれらを乗り越えるときに、

楽しみも喜びもあるいは、

苦しみも悲しみも

共に分かち合う存在

であるのではないだろうか?


それが出来ない時とても寂しい気分になる。



夫婦なのに寂しい…

そう思ってしまう瞬間ときがある。

長く夫婦生活を送っていると、どうしても相手の小さなアラ探しが積み重なり、いつしかそのイライラが限界を超えてしまうこともある。そんな時

「夫婦って何か?」

「夫婦である意味」

はいったいどこにあるか?

と考えてしまう。


子供が体調を崩している時に子供の看病を全て妻に任せ、「自分には仕事があるから」と早く帰宅するわけでもなくいつも通り仕事して帰ってくると、夫婦なのに支え合っている実感が持てず、寂しいと思ってしまうだろう。

困っている時にこそ支え合うのが夫婦じゃないの?と思ってしまう。


それから自分の存在価値を理解してもらえない時。夫婦として妻は家で家事・育児をこなし、夫は仕事でお金を稼ぐような役割分担があるとは思う。(もちろんその夫婦に合った価値観というのがあって必ずしもそうとは限らないけれど)しかし、お互いの役割について感謝やねぎらいの言葉がないと自分の存在価値って何だろう?と疑問に思ってしまう。

家庭の中で自分の存在が空気のような当たり前の存在になってしまうと自分の存在価値がわからなくなり夫婦なのに寂しいと思ってしまうのだ。こんなときにも

「夫婦って何だろう」

と感じてしまうのだろう。


お互い悩みがあった時に話してくれない時。夫は仕事での悩みがあり、妻は子育てや友人との人間関係などで悩みがあった場合に一番み近しい存在である夫婦間で話をしていないとやっぱり夫婦なのに寂しいと思ってしまうだろう。

お互いが悩み苦しんでいることを夫婦なのにお互い知らないでいるのはとても寂しいことではないだろうか?


相手を思いやり、

お互いを理解し合う事は、

決して簡単な事ではない。

相手を想い悩んでぶつかって、

それで初めて自分のそれから相手の本当の気持ちに気づくのだろう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


こうして僕たちはもう一度結婚という選択をする事にした。

同じ相手ともう一度結婚するなんて、

思いもしなかったし、

そんな人いるのかな?

なんて思ったけれど、

世の中にはそういう夫婦が

少しはいるらしい。


「忘れ物ない?」


「うーん。多分……あっマスク忘れた。」


「本当にもう!!しっかりしてよ!!」


「ごめんごめん……でもそういう君も、

まさかそので旅行に行くつもり?」


二人で彼女の足元を見て目を合わせる。

思わず吹き出す。



再婚の約束をした日に、

毎年二人で少し遠出する。

一度目の記念日には同じ花緑公園のイルミネーションを見にいった。二度目は日帰りで行ける違う場所を選んだ。

それも今年で3回目になる。

まだ3年しか経っていないけれど、

別居出戻りを繰り返していた頃は、

半年ももたなかったのだから、

三年でもかなりの大台だと思う。


三年たった今でも

時々大きな喧嘩が勃発する。

お互いをなじりあい、

さげすみ傷つけあう。

けれどもそんな時は、

少しだけ適度な距離と、

少しだけ適度な時間を置いて、

しっかり話し合い、

何が嫌だったか、

どこが悪かったかを反省しあう。

修復にかかる時間まちまちで、

2時間くらいで終わる事もあれば、

3日くらいかかる時もある。


それでは前と変わらない?


いやいやそんな事は無い。


最後は二人ともお互いを信じてる。


だからどれだけ時間がかかっても、

仲直りできると信じられる。


それでこじれた糸がほどけたら、

お互いの温度を確かめ合って、

熱すぎず、温すぎず、適度な温度と感じ合う。

それで、混ざり合い、つながり合い、

心も体も愛まみれて、

「エマルシフィケョン」する。

そうしたら一つになれる。


信じ合える喜びを

傷つけあう悲しみを

いつかありのままで

愛せるように

Time goes by


いつか歳をとり、

一つになれない時が来るだろう。

けれども心が通い合っていれば、

きっと一つになれるだろう。


心と体は、結局は一つのものなのだから。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


幸せの時間というのは長くも短い。


「楽しみだね。」


新しい朝を迎えれば、


「何が1番楽しみ?」


また一つ歳を重ねる事になる。


愛しあう二人が

一緒にいられる時間は、

せいぜい30〜40年だろう?

命のように限られている。


「うーん日生のカキオコ!!」


どうか相手を想いながら、

相手の言動に傷ついた時は、

時間と距離をおいて、

相手の事を考えてほしい。

そうして二人が一つになれる事を望めば、

必ず乳化出来るだろう。



                end

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Emulsification 雨月 史 @9490002

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る