第18話 支えになるもの ○
結果的に仕事が来週からで助かった。
三男は嘔吐の風邪でごはんも食べられず、
水分を取ることも困難だった。
そのまま入院して点滴をして何日か過ごす事になった。上の子の事は母に頼んだ。
「ごめんね。お母さんもっと早く気づいてあげればよかったね。」と頭を撫でてあげた。
三男は辛そうな顔してるのに、
ニコリと笑った。
その笑顔がまた私にとっては辛かった。
なんとしてでもこの子たちを一人前に育てないと……そう思った。
点滴と薬のおかげか、
入院して2日目の朝にはすっかり熱も下がってケロッとしていた。病院食のお粥もしっかり食べきった。
病院の先生が言うには直ぐに救急車を呼んだのがよかったそうだ。あと一時間遅ければ、脱水をおこしていたかもしれないということだった。そうなると簡単には回復しづらいらしい……?
親の咄嗟の判断で子供の命に関わる。
そう思うと気が抜けない。
それがまたプレッシャーになる。
とにかく今回は大事に至らなくて本当によかった。
と一安心した。
しかし次男は遊具から落下してけが……
三男は熱……。
不幸ばかりが続いている気がした。
あの人の呪いだったりして……。
なんて冗談は笑えない。
長男も気をつけておかないといけない……。
といっても赤ちゃんじゃないのだから、
四六時中見張ってるわけにもいかない。
家に帰って洗面台で自分の顔を見ると、
疲れきったひどい顔をしていた。
私はいつだってただでさえ眠りが浅いのに、
いつもと違う環境ではほとんど眠りにつけない。My枕がなければなおさらだ…。
一度熱いシャワーでも浴びてシャンとしよう。脱衣所で服を脱いでもう一度鏡に写った自分の姿を見た。
老けたな……こうしてどんどん歳だけとるのだろうな……。ん?
なんとなく見た目に違和感を覚えた。
やっぱりおかしい。
お腹の一部がひどく腫れている?
いやまさか……。
もう一度鏡の自分をじっくりと見る。
「嘘でしょ?!何これ?」
ひどく不安を感じて血色の悪い顔がそれ以上に青ざめた。
「もういやっ!!!」
思わず声をあげて叫んでしまった。
そこにたまたま様子を見にきた母が駆けつけた。
「どうしたの??」
「お腹が……お腹がおかしい!!」
と半泣きで訴えると近くまで寄って見に来てくれたので腹部を見せた。
「とりあえずさっさとシャワー浴びてきなさい。それから病院にいくわよ。」
コクリと頷いて言われたようにした。
その間に母が何件か病院に電話してくれたが、大きな病院はまず町医者にいけとしか言ってくれなかったようだ。
仕方なしにとりあえずいつも風邪を引いている時に行っている内科へ行く事にした。
どうして私ばかりがこんなに酷い目に合わなければならないのだろうか?
私は今までだって人一倍努力して、
誰よりも気を使って真面目に生きてきたではないか?!何がいけないというのだ。
なんで子供の為に一生懸命生きようと思った矢先にこれなの?
私はいったい何を支えに生きればよいのだろうか?
私は……私の為の人生なんてもう……。
町医者は触診をしばらく続けて、
やはり自分には手に負えないと判断した。
そのまま紹介状を渡されて今日帰ってきたばかりの市民病院へ向かった。
「内臓に水疱がらできています。」
「水疱…ですか?」
「はい。正直原因的なものはわかりません。
まぁ一般的にはその部分に負担がかかったり、心的ストレスがかかったりするのできるものですから。」
「ストレス……ですか。」
「そうですね。何か心当たりでもあるのですか?」
心当たり……。
そりゃー大有りですよ…。
「あのー……治るものなのですか?」
「うーん…。正直ストレス性のものならば、
完治というのは……。ただ肥大し続けて行くようならば手術も考えないとね…。
現段階では様子を見たほうがいいかもしれません。」
「手術したら治るのですか?」
「治るというか切除はできますが、またできる可能性はあります。だから様子をみて収縮するのを待つのがbetterだと思います。」
「……わかりました。」
待合室で会計を待ちながら置かれていた観葉植物に目が行く。伸び放題に伸びて少し鉢が小さく見える。あまり管理されてないのだろうか……。
今の私はこの観葉植物みたいだ。
小さな植木鉢に入っている大きな植物。
自分では支えきれない程の問題が大きな葉が沢山生えてきて小さな器では支えきれない。
支えになるものがないといつか…いや近いうちに倒れてしまうかもしれない……。
一度あの人に連絡してみよう…。
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