第16話 ENDmarker3.

 お墓。


 お花。


 黒服で、祈るわたし。


 殺し屋なのに。供養のしかたなんて、知らない。


 彼のことを考えて。作ったお墓だった。


 わたしは。無力だから。お墓を作ることぐらいしか。彼にしてあげられることは、なかった。


 自分を撃とうとした、あのとき。


 ほんのすこしだけ。


 彼に近付けた。そんな気がした。死にたいひとの、どうしようもなくなってしまったような、気持ち。


 心のなかに。まだ、小さくかたまって、残っている。どうしようもない。


 こうやって。


 彼を想って。


 祈ることぐらいしか。わたしには、できない。


 彼は。


 しあわせだったのだろうか。


 わたしは。


 しあわせだった。


 それだけが、確か。


「いつまで祈ってるんですか。そんなことしても、時間の無駄ですよ」


 彼の声が。聞こえた気がした。

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